光源の種類と特徴:照明の基礎知識2

照明の基礎知識

更新日:2022年10月14日(初回投稿)
著者:放送大学奈良学習センター 所長 特任教授 井上 容子

前回は、暮らしの中での光の役割と、測光量・測定機器について解説しました。私たちが照明に用いる光は、太陽の光(自然光源)と人工の光(人工光源)です。一般に照明用光源というと、電気による光を思い浮かべがちであるものの、実は、太陽の光も光源として大きな役割を担っています。今回は、両者の特徴について、効率、寿命、色温度、演色性の観点から解説します。ただし、光源の特徴が、必ずしも照明光の特徴となるわけではないことに留意してください。太陽光の室内への採り入れ(採光)は主に窓を介してなされ、窓材料に応じて光の性質も変化します。また、人工光源は単独で用いることはほとんどなく、照明器具に組み込まれて使用されるため、同じ光源でも取り付け器具によって光の性質は変化します。

1. 自然の光

自然光は、発光の仕組みにより分類されます。熱の発散を伴う熱放射と、それ以外の刺激によるルミネセンスです。熱放射による自然光には、太陽光と炎があります。ただし、照明光としての炎は、人が蝋燭(ろうそく)やガスなどの燃焼材を用いて人工的に作り出すので、多くの場合、人工光に分類されます。ルミネセンスによる発光としては、蛍やホタルイカなどの生物発光、稲妻、オーロラなどがあります。ここでは、最も代表的な自然光である太陽について説明します。

・太陽

太陽は、直径が地球の約109倍という巨大なガス体で、核融合反応によって水素がヘリウムに変化し、巨大なエネルギーを放出しています。このエネルギーが電磁波(放射線)として地球に届きます。太陽からの放射線の波長範囲は、大気圏外では200〜数1,000nmの範囲にわたります。放射線は、大気層を通過する間に散乱・吸収されるため、図1に示すように、地上での強さと成分(スペクトル分布)は太陽の高度によって変化します。

図1:直達日射のスペクトル分布
図1:直達日射のスペクトル分布

高度が高いほど色温度が高く、10,000Kにも達することがあり、青味を帯びた光になります。反対に、高度が低くなるにつれて色温度は下がり、赤みを帯びた光となります。日出没時の色温度は、およそ2,000Kです。図2は、CIE(国際照明委員会)が、自然光の分光分布の実測値を統計的に処理して定めた合成昼光です。明所視の場合に、目の感度が最も高くなる555nmでのエネルギーを1.0として、相対的に示しています。

図2:CIE合成昼光
図2:CIE合成昼光

太陽放射は、波長に応じて紫外線(〜380nm)、可視線(380〜780nm)、赤外線(780nm〜)の3つに分類されます。照明光として利用しているのは、光覚を生じさせる380〜780nmの、放射線の光効果です。この範囲には、太陽エネルギーの約52%近くが含まれているため、太陽光を取り入れる際には、冷房負荷などの熱負荷にも十分に配慮する必要があります。

太陽光は、直達光(直射日光)と天空からの散乱光に大別されます。直射日光の法線面照度は、数10,000 lx(ルクス)にも達します。この強い光が室内に射し込むと、極度の明るさムラが生じます。また、雲の影響などで短時間に著しく変動する上、常時あるとは限らないため、そのままでは照明光として不適当です。さらに、室内の家具や什器(じゅうき)を退色・汚損させ、人体にも炎症・色素沈着などの障害をもたらすため、室内へ直接射し込むことを防ぐことが重要です。照明光としては、主に天空からの散乱光を利用します。とはいえ、天空の状態もまた常に変動します。従って、太陽光の最大の特徴は、昼間だけ存在する変動光源であるということです。

なお、強大なエネルギーを有する直射日光を照明に利用できれば、照明用エネルギーの大幅な軽減になります。このため、窓装備などでいったん反射・拡散させるなどして、直射日光の照明光としてのさまざまな問題点を解消して室内に導入する技術開発と、その実用化への取り組みが行われています。

2. 人工の光

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