ヒューマンエラー:ヒューマンインタフェースの基礎知識2

ヒューマンインタフェースの基礎知識

更新日:2022年4月12日(初回投稿)
著者:東京農工大学 名誉教授 北原 義典

前回は、人間中心設計の重要性について解説しました。今回のテーマは、ヒューマンエラーです。時代が進んでも一向に減らないヒューマンエラー、その原因と対策について考えてみましょう。

1. ヒューマンエラーとは

ヒューマンエラーとは、人間が意識しない状態で犯す過誤で、時として、装置やシステム、あるいはユーザー自身、さらには会社や社会に重大な問題を引き起こすことにもなります。ビルの屋上からわざとものを落として壊したり、人を死傷させたりするような意図的な行為は、ヒューマンエラーとは呼ばれません。あくまでも意識しないで犯すミスがヒューマンエラーです。

工事現場で誤って鉄材を落下させ通行人を巻き添えにしてしまう事故、手術中にメスを体内に置き忘れ患者を死に至らせてしまう事故など、さまざまな作業現場で、人間のちょっとしたミスが大事故につながることがあります。最近では、2021年2月から始まった新型コロナワクチンの接種において、使用済み注射器の使用や、インフルエンザワクチンと間違えての接種など、まさにヒューマンエラーが頻発しています。

ヒューマンエラーの防止策として、注意喚起だけでは限界があります。「人間はエラーを起こすものである」ことを前提に、予防的かつ対処的に、科学的・工学的な策を具体的に講じたシステム設計を行うことが重要です(参考文献:北原義典、イラストで学ぶヒューマンインタフェース 改訂第2版、講談社、2019)。ヒューマンファクタ研究者の石橋明は、「表面に見える事故の背後には、それにつながる多くの要因が潜んでいる。誰の責任かを追及するだけでなく、エラーを誘発した背後の要因は何か、そしてそれらを排除するにはどのような具体的方策があるのかを検討することが重要である」と指摘しています(参考文献:黒田勲監修、石橋明著、事故は、なぜ繰り返されるのか 第2版、中央労働災害防止協会、2006)。

さまざまな事故の原因は、図1のように、ユーザーに起因する要因(感覚器や知覚、記憶、運動器など)、システムに起因する要因(ハードウェアやソフトウェアなど)、自然に起因する要因(温度、湿気、雷、地震)などに分けられます。しかし、システムに起因する要因でも、バグやユーザインタフェースの悪さなどは人間に起因するものであって、間接的なヒューマンエラーです。また、自然に起因する要因であっても、点検や温度管理、落石対策、落雷対策などを怠っていなければ事故を防げることも多く、これもやはり間接的なヒューマンエラーといえます。ヒューマンエラーでは、表層的な事象だけでなく、背後に潜む要因を人間の特性という観点から分析し、エラー防止につなげることが大切です。

図1:事故の原因

図1:事故の原因

2. ヒューマンエラーへの予防的対策

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3. ヒューマンエラーへの対処的対策

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