粉体付着防止・払落し装置類の選び方:装置・機器の選び方の基礎知識

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更新日:2015年6月(初回投稿)
著者:トリプルエーマシン株式会社 代表取締役 博士(工学) 石戸克典

1. 主な付着原因

粉体付着防止対策を考える時にまず考えるべきことは、付着原因を特定することです。よくある原因は、3種類です。

1:粉の性状に起因するもの
粉体は、試験用に受け取った時の状態と、実際に生産ラインで流れている粉とでは、性質が大きく異なることがあり、この違いのために問題が発生することがあります。

2:プロセス設置環境によるもの
温度・湿度等の環境条件が試験の時と変わっていて、粉体プロセスに影響が出る場合があります。

3:設備機器に由来するもの
機器の前後のつながりのなかで発生する問題が多いです。もちろん機器そのもので付着・凝集・閉塞などの問題を起こすこともあります。

2. 粉の性状に起因する付着防止対策

粉体の特性は、以下の評価指数で測定されます。

ゆるめかさ密度、 固めかさ密度(圧縮度)、安息角、 流動度、スパチュラ角凝集度、崩潰角(差角)、分散度

しかし、事前の測定時と実際に製造プロセスで流れる粉とは性状が異なることがあります。一例をあげますと、軽質炭酸カルシウムの生産ラインで、回転式の分級機を設置したときに付着が発生し、分級機の入り口で粉が詰まってしまうという事例がありました。このケースでは、機械で付着の発生するところにウレタンライニングを施すことで最終的には問題が解決されました。

このように材質を検討できる時は良いですが、その方法が取れない時は、物理的な方法を検討する必要が出てきます。閉塞を防ぐためには、付着発生個所をかき取る・ハンマーで機械の外側をたたくなどの手作業を行うことがあります。

この作業を自動で行うものが、スクレーパー、エアノッカー、バイブレーターエアブラスター、エアレーション(流動化)などです。

垂直の丸い管の内壁であればスクレーパーが有効で、圧縮空気を吹き込んでもよい粉(たとえば、粉じん爆発の危険のない粉)であれば、エアレーションやエアブラスターも有効です。

ホッパー、空気輸送配管やシュートにはバイブレーターやエアノッカーが多く使われています。バイブレーターやエアノッカーは座板の溶接を指定どおりの方法で行わないと溶接部からひびが入ることがあるので、注意を要します。エアノッカーは叩いた時の衝撃力が高いので、一般にバイブレーターで落ちない粉に使われることが多いです。

3. プロセス設置環境に基づく付着防止対策

試験ではうまくいったのに、実機納入後に問題が起きるケースに、設置環境に違いがあることも理由になります。一例では、実際の生産ラインでは湿度が極端に低いために、想定以上の静電気が発生し、粉体の凝集が発生し、機械の性能が達成できないケースがありました。

このケースでは、機械に粉体を投入する前に、分散器を設置し、部屋の加湿も行うことで解決しました。湿度でいえば、逆の例もあります。湿度が高すぎて粉体が凝集することもあるのです。

粉体によって、凝集・付着する条件は異なるので、ある粉体でうまくいった方法を他の粉体に応用する前に検証作業が必要となります。色々な条件で試験したのち、安定的に製造できる条件を見つけた上で、実際にプロセス設計の際に生かしていくという地道な作業がどうしても必要です。

4. 設備機器由来の付着防止対策

粉体を定量供給するスクリューフィーダーの場合、粉体の性質に合わせて、フィーダーの構造を適切に設計・選択しなければなりません。

粉体圧は主にホッパーの構造、粉体充填密度はアジテーター・スクリューの構造、粉体の崩壊性は排出する落ち口の構造に影響を与えます。

粉体の物性を測定し、上記を総合的に検討し、スクリューフィーダーの構造を決定(設計)する必要があります。検討の結果、スクリューフィーダーで定量排出ができないと判断すれば、別の方式(コイルフィーダー、テーブルフィーダー、振動フィーダー、サークルフィーダーなど)も、検討することになります。

適切に設計できないと、ホッパー内にブリッジが生じ、ボタ落ちによる能力の脈動が発生することになります。どんな粉にも通用するようなスクリューフィーダーはないと考え、使用する粉体の特性に合わせて、適切なフィーダーを、都度選ぶことが安全な考え方です。

金属粉など、回転構造そのものが不適切(金属が回転部に付着成長し大粒子形成をすることがある)という場合には、振動フィーダーを使ったり、スクリューフィーダーの後に篩を設けたりする必要があります。フィーダーのスクリュー部に粉が入っていきにくい粉体には、壁が波打つようなフィーダー(例:クマエンジニアリング)もあります。

設備機器に由来するケースは、設計時に想定されていなかった条件が、実際の生産で発見され、機械がそれに対応していないというケースが多いです。

粉体の性状に合わせて、適切な機器を採用することが極めて重要ですので、事前に粉体特性を測定し、実機での試験を行った上で、プロセスに合う機械を選定することが大事です。他社で同様の粉体で問題ないからといって自社のプロセスで使えるとは限りませんので、発注する前の入念な検討が欠かせません。

最後に、凝集性の高い粉体や湿体にも利用されている供給排出装置、ならびにその補助装置を紹介します。

種類特徴取扱メーカー
コーンバルブ付きIBC
(Intermediate Bulk Container)容器
難排出の粉粒体用に、バッチ連続式で、多品種・コンタミレス生産に適している日清エンジニアリング(マトコン)
赤武エンジニアリング(Uコン)
東洋ハイテックなど
バイブロディスチャージャー難排出の粉体でサイロからの連続排出が必要な場合に適している東海パウデックス
ツカサ工業
ビューラーなど
サークルフィーダーさらに難排出の粉には、採用されるケースがある。他の排出方法では無理でも、これらの方法で排出できるケースがあるので、最後の可能性として検討に値する。ヨシカワ
リクレイマさらに難排出の粉には、採用されるケースがある。他の排出方法では無理でも、これらの方法で排出できるケースがあるので、最後の可能性として検討に値する。

ウッドチップ、DDGS(トウモロコシからエタノール成分を抽出した残りの飼料)、大豆ミール、魚粉など海外を中心に多くの実績がある。既存のサイロにホッパーを改造して取り付けることも可能

米国レイディグ
エアノッカー、エアブラスター、バイブレーター、散気板などサイロ、容器、配管・シュートの付着による簡易的な閉塞防止機器としてよく使われる。バイブレーターではホッパー内のブリッジを壊せない粉体でも、エアノッカーで壊れることがあるエクセン
セイシン企業
カネキタなど

最近は、大型のサイロにもホッパー部にエアノッカーを複数台設置し、同時にマイクロ波のレベル計(マツシマメジャテック、独ベガ、独シーメンスなど)で粉体面を常時計測監視することによって、ラットホールが発生するメカニズムを解明しようとする取り組みもなされています。