MEMSジャイロの原理:ジャイロセンサの基礎知識2

ジャイロセンサの基礎知識

更新日:2022年4月8日(初回投稿)
著者:東北大学 大学院工学研究科 ロボティクス専攻 教授 田中 秀治

前回は、さまざまなジャイロの種類とその性能について解説しました。世の中で最も使われているジャイロは、MEMSジャイロです。外見は何の変哲もないチップに見えます。ところが、その構造は実に驚異的です。構造については次回に説明することにして、今回はMEMSジャイロの原理を説明します。

1. MEMSジャイロの原理

MEMSジャイロとは、スマートフォンなどのプリント基板に載っている、数ミリ角四方の黒い部品の一つです(図1)。前回説明したように、MEMSジャイロは振動式に分類されます。

図1:MEMSジャイロのチップ

図1:MEMSジャイロのチップ

MEMSジャイロの原理を説明します(図2)。直交するx軸とy軸に沿ってばねで支持された重りがあり、各方向に振動するとします。また、ジャイロが止まっているとき、x方向とy方向の振動は独立、つまりお互いに影響を及ぼさないとします。

図2:振動式ジャイロの原理

図2:振動式ジャイロの原理

このような状態で、重りをx方向のみに一定振幅で振動させます。x方向の振動はy方向に影響を及ぼさないため、重りはy方向には止まったままです。ここで、ジャイロを回転させます。このとき、重りにはコリオリ力が働きます。コリオリ力とは、回転しているものの上で移動する物体が受ける力です。なお、回転しているものの外からその物体を見ても、コリオリ力が働いているようには見えません。

回転しているもの、つまりここではジャイロの上に座標系を取り、そのx軸に沿って重りが振動していて、ある瞬間の速度がvxであるとします。ジャイロの角速度をΩzとすると、この座標上で重り(質量m)には2mvxΩzのコリオリ力が、y方向に働きます。コリオリ力は振動方向に直交して働き、Ωzに比例しているところがキーポイントです。

重りのx方向振動が一定周波数fxだとすると、vxはその周波数で三角関数的に変化するため、コリオリ力も同じように変化します。つまり、重りはy方向に周波数fxで加振されます。その結果、定常状態ではy方向の振幅は一定になると考えられます。このy方向の振幅は、加振力、つまりΩzに比例しているはずなので、それを測定することによってジャイロの加速度が分かるということです。

2. もう少し詳細な原理の説明

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3. 実際のジャイロの信号処理

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