研削砥石の種類と選び方:研削加工の基礎知識5

研削加工の基礎知識

更新日:2017年5月10日(初回投稿)
著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

前回は、延性モード研削とぜい性モード研削、最大砥粒切り込み深さ(tmax)と、臨界砥粒押し込み深さ(Dc値)の関連を説明しました。今回は、研削砥石と超砥粒ホイールを取り上げます。また、作業目的に応じた研削砥石の選択方法を解説します。適切な研削砥石を選択することで、多くの研削トラブルを回避できます。

1. 研削砥石と超砥粒ホイール

研削砥石と超砥粒ホイールは、見た目はよく似た研削工具です。しかし、その構造には違いがあります。研削砥石は、砥石の外側から内部まで全体の組成は均一です。一方、超砥粒ホイールは、台金(コア)と外周部の砥粒層で構成されています。研削砥石と超砥粒ホイールでは、JIS規格も異なります。例えば、ビトリファイド研削砥石はJIS R 6210で、超砥粒ホイールはJIS B 4131で規定されています。

2. 研削砥石の3要素5因子

研削砥石は、砥粒、結合剤および気孔の3元系でできています(図1)。砥粒は切れ刃の働きを、結合剤は砥粒を支えるホルダーの働きを、気孔は切りくずを排出する働きをします。砥粒、結合剤、気孔を、研削砥石を構成する3要素と呼びます。

図1:研削砥石とその構造

図1:研削砥石とその構造

研削砥石の3要素は、さらに細かく分類できます。まず、砥粒の種類や、大きさを示す粒度によって分けられます。また、研削砥石中に占める砥粒の体積分率を砥粒率Vgといい、組織という指標で表します。同様に、研削砥石中に占める結合剤と気孔の体積分率を、それぞれ結合剤率Vb、気孔率Vpといい、Vg+Vb+Vp=1となります。結合剤率Vbは、結合度という指標で表します。気孔率Vpは、組織と結合度が分かれば、自動的に決まります。このように、砥粒の種類と粒度、結合剤の種類と結合度、気孔の組織を、研削砥石の3要素5因子といいます(図2)。

図2:研削砥石の3要素5因子

図2:研削砥石の3要素5因子

ここで問題なのは結合度です。例えば、一般的なビトリファイドボンドは、ケイ石、粘土、長石の3元系で構成されています。しかし、組成は砥石メーカーにより異なり、結合剤率Vbとして一律に規定できません。そのため、二又ビット法(により測定された値が、結合度として規定されています。測定には、大越式結合度試験機を使用します(図3)。

図3:大越式結合度試験機

図3:大越式結合度試験機

超砥粒ホイールには、気孔を含まず、砥粒と結合剤で構成される2元系マトリックスタイプと、気孔を含む3元系ブリッジタイプがあります。この場合、組織の代わりにコンセントレーション(砥粒層中に砥粒がどれだけ含まれているかを表す指標) が用いられます 。

3. 研削砥石の仕様の表示

研削砥石の表面に貼られたラベルには、砥石の仕様が記載されています。例えば、図4のラベルでは、WAは砥粒の種類、46は粒度、Hは結合度、Vは結合剤の種類を示しています。また、MAX 2000 M/MINは、最高使用周速度を示しています。組織は省略可能なので、図4には表示されていません。

図4:ラベルに表示された研削砥石の仕様

図4:ラベルに表示された研削砥石の仕様(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.59)

超砥粒ホイールの仕様は、台金に刻印されています。図5のラベルでは、CBは砥粒の種類、140は粒度、Nは結合度、125はコンセントレーション、BSP2のBはボンドの種類(レジンボンド)、SP2はボンドのメーカー独自記号、3.0は砥粒層の厚さを示しています。

図5:台金に刻印された超砥粒ホイールの仕様

図5:台金に刻印された超砥粒ホイールの仕様(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.63)

研削砥石の仕様表示の詳細を紹介します。仕様には、砥石の形状、縁形、寸法、砥粒の種類、粒度、結合度、組織、結合剤の種類、細分記号および最高使用周速度が記されています。砥石の形状には、平形、ストレートカップ形、テーパカップ形などがあります。縁形は、外周端面の形状を意味する記号(A~P)で示されます。砥粒の種類には、アルミナAl2O3系と、炭化ケイ素SiC系があります。結合度はアルファベットで示され、Aに向かうほど軟らかくなります。組織は0~14の数字で示され、0に向かうほど密になります。結合剤の代表的なものには、ビトリファイド、レジノイド、メタルがあり、それぞれV、B、Mの記号で示されます。

超砥粒ホイールでは、組織に代わってコンセントレーションが用いられます。砥粒率25%をコンセントレーション100とし、その場合、1cm3当たり4.4カラットの超砥粒を含むと規定されています。さらに、砥粒層の厚みも規定され、1.5mm、2.0mm、3.0mmの3種類があります。

4. 研削砥石の選び方

研削加工を上手に行うには、作業目的に合った研削砥石を選択する必要があります。その際、砥石の5因子(砥粒の種類、粒度、結合度、組織またはコンセントレーション、結合剤・ボンドの種類)を適切に決めることが大切です。

砥粒の種類

アルミナAl2O3砥粒、炭化ケイ素SiC砥粒、ダイヤモンド砥粒、立方晶窒化ケイ素cBN砥粒から選択します。従来型のアルミナAl2O3砥粒や炭化ケイ素SiC砥粒は、ドレッシング条件次第で砥石面がさまざまな性状に変化するので、粗研削や仕上げ研削にも適用できます。これらの砥石には融通性がある一方で、使いこなすには技能が必要です。

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