研削・切削・研磨の違いとは?:研削加工の基礎知識2

研削加工の基礎知識

更新日:2017年3月2日(初回投稿)
著者:基盤加工技術研究所代表 工学博士 海野 邦昭

前回は、いろいろな研削様式を解説しました。研削加工は仕上げ加工なので、通常、鋼材の研削においては、形状精度、寸法精度、表面粗さの他、研削焼けや割れなどの表面品質が問題になります。そのため研削加工においては、工作物に作用する研削抵抗や熱の影響などをよく理解した上で作業を行うことが、大切です。今回は、研削の際の抵抗や熱による工作物の変形について解説します。

1. 切削、研削、研磨

切削加工とは、切削工具であるバイトやフライス工具などを使って、工作物の不要な部分を除去し、所要の寸法、形状にする加工方法です。また、研削加工とは、研削工具である研削砥石や超砥粒ホイールなどを用いて、砥石作業面上の多くの切れ刃で工作物表面をわずかに削り取り、所要の寸法、形状および表面粗さなどに仕上げる加工方法です。そのため、切削加工も研削加工もともに、工作物の不要な部分を除去し、所要の形状や寸法にする除去加工法であることには変わりがありません(図1)。

図1:切削加工と研削加工(切削イラスト提供:三菱マテリアル)

図1:切削加工と研削加工(切削イラスト提供:三菱マテリアル)

一方、研磨加工とは、遊離砥粒や固定砥粒を工作物に定圧で押し付けて、その表面を滑らかにする方法です(図2)。この方法には、遊離砥粒方式と固定砥粒方式があります。固定砥粒方式の場合は、研削加工と類似しています。この研磨加工は圧力制御方式(一定の負荷で工作物を加工)であるのに対し、研削加工は運動制御方式(所要の切り込みを与えて工作物を加工)という違いがあります。

図2:研磨加工

図2:研磨加工(引用:安永暢男、はじめての研磨加工、工業調査会、2010年、P.35)

次に、運動制御方式である切削加工と、研削加工の特性の違いを見てみましょう。切れ刃先端で工作物に対し垂線を立て、切削工具(バイト)のすくい面とのなす角を、すくい角と呼びます(図3)。切削工具のすくい角が大きいほど、切れ味が良く、切削時のせん断角が大きくなるので、薄い切りくずが排出されます(図3)。切削工具の切れ刃と研削砥石の砥粒切れ刃のすくい角を比較すると、前者は正で、後者は負となります(図4)。そのため研削の場合は、切削と比較し切れ味が悪く、加工時に切りくずが大きく変形するので、発熱も大となります。また切削の場合は、切削抵抗の主分力(接線分力)が背分力(法線分力)と比較し大きいのに対し、研削の場合の研削抵抗はその反対になります。研削時に背分力が大きいと、工作物や砥石軸が逃げて切り残しを生じ、形状精度や寸法精度に悪い影響を及ぼします。そのため研削加工は切削加工と比較し、切れ味の悪い加工法といえます。研削作業では、このような研削加工の特徴をよく理解しておくことが大切です。

図3:切削工具の切れ味とは

図3:切削工具の切れ味とは(引用:海野邦昭:切削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.25)

図4:切削と研削の特性の違い

図4:切削と研削の特性の違い(引用:海野邦昭、研削加工基礎のきそ、日刊工業新聞社、2006年、P.21)

2. 研削温度と熱損傷

研削加工の場合は、砥粒切れ刃のすくい角が負なので、加工時に切りくずが大きく変形し、発熱量が大きくなります。また、砥粒切れ刃のすくい面や逃げ面における摩擦による発熱により、研削温度が非常に高くなります。研削温度は砥粒研削点温度、砥石研削点温度、工作物(平均)温度、工作物表層温度に区分けされます。通常、研削温度は熱起電力を利用した熱電対により測定されます。しかし、これらの値を正確に求めることは困難です。

研削時に発生した熱の一部は工作物に流入します。その熱は工作物表面より内部に熱伝導し、温度分布を形成します。

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3. 接触弧の長さと研削焼け

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4. 研削時の工作物の変形

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