グリーンインフラとしての海岸マツ林:グリーンインフラの基礎知識3

グリーンインフラの基礎知識

更新日:2022年10月6日(初回投稿)
著者:金沢大学 人間社会研究域附属 先端観光科学研究センター 准教授 菊地 直樹

前回は、生態系減災Eco-DRRについて紹介しました。今回は、グリーンインフラとしての海岸マツ林とその維持管理について解説します。白砂青松と称される海岸マツ林は、日本を代表する景観の一つです。海岸マツ林は、多くの生態系サービスを提供するグリーンインフラです。しかし、人口減少時代の現在、維持管理の問題を抱えています。

1. 白砂青松

青い空と白い砂浜、広がるマツ林。白砂青松(はくしゃせいしょう)は、日本を代表する美しい景観です(図1)。多くの海岸マツ林は、天然林ではなく、江戸時代から明治時代に植林されたものです。戦後になって、海岸林造成事業などによって海岸林が整備・拡大され、現在の姿になりました。

図1:白砂青松が美しい伊師浜海岸(茨城県日立市)

図1:白砂青松が美しい伊師浜海岸(茨城県日立市)

2. グリーンインフラとしての海岸マツ林

2011年に発生した東日本大震災では、巨大な津波によって広い範囲の海岸林が破壊されました。一方で、内陸側で残存したクロマツ林が漂流物を止め、浸水域や家屋被害を軽減するなど、海岸林は津波に対して一定の減災効果を発揮することが確認されました。

防災・減災機能を保つため、各地のマツ林は潮害防備保安林、暴風保安林、飛砂防止保安林などに指定されています。もちろん、海岸マツ林だけでは津波被害をなくすことができません。一方、人口減少社会においては、土木工事だけで防災・減災に対応することも困難です。造成や維持管理の費用が比較的安い海岸マツ林を、堤防といった他の防災設備や、さらには防災教育といったソフトと組み合わせていくことが必要です。

海岸マツ林という自然が提供するサービスは、防災減災に限りません。自然がもたらすサービスのことを生態系サービスといいます(第1回、図1)。以下に、海岸マツ林の生態系サービスを示します(表1)。

表1:海岸マツ林の生態系サービス

表1:海岸マツ林の生態系サービス

調整サービスとして、津波被害の軽減に加え、自然堤防による砂浜涵養(かんよう)や暴風・防砂機能があります。海岸林は塩分と風速を軽減し、風に乗って飛んでくる砂を内陸側へ移動させない効果があります。

基盤サービスとして、海岸景観による生態基盤の形成、供給サービスとして、食用に給される植物や、砂丘によりろ過された地下水の涵養(かんよう:地表の水が地下浸透して帯水層に水が供給されること)があります。文化サービスとしては、海水浴を中心としたレクリエーションの場としての利用があります。

多岐にわたる生態系サービスを提供してきた海岸マツ林は、それぞれの地域の歴史とともに形成されてきたグリーンインフラであるといえます。

3. インフラの維持管理

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4. 事例

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5. インフラのコモンズ化

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