食品添加物とは?:食品添加物の基礎知識1

食品添加物の基礎知識

更新日:2018年3月2日(初回投稿)
著者:武庫川女子大学 生活環境学部 教授 松浦 寿喜

食品添加物というと、一般的には悪者のイメージがあるようです。しかし、私たちの安全で豊かな食生活を支えているのは、何を隠そう食品添加物なのです。本連載では7回にわたり、食品添加物の安全性と有用性を解説していきます。初回となる今回は、食品添加物の定義、歴史、現在の使用状況など、概要を説明します。

1. 食品添加物とは

食品添加物は、食品衛生法第4条2項で「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう」と定義されています。

この法律が示すように、製造段階で食品に加えられるものは、全て食品添加物となります(図1)。例えば着色料、保存料、酸化防止剤、甘味料、調味料などは、食品添加物としてイメージしやすいでしょう。これらは加工食品の製造過程で添加され、そのまま最終製品中に残って効果を発揮します。製品の原材料名欄にも表示されるので、一般的にも認識されています。

図1:2つの食品添加物(完成製品残存型、製造工程除去型)

図1:2つの食品添加物(最終製品残存型、製造工程除去型)

これに対し、製造過程で添加されるものの、後の工程で取り除かれ、最終的な食品には残っていない食品添加物があることは、あまり知られていません。一例として、ビールなどのろ過に使用する活性炭や、缶詰のみかんの薄皮をむく時に使用される塩酸などです。これらは食品の製造過程で使用されるものの、最終的にはフィルタで取り除かれたり、中和され、最終製品には残存しません。原材料名には表示されない食品添加物です。

食品添加物は、厚生労働大臣が安全性や有用性を考慮した上で、人の健康を損なう恐れがないように、さまざまな規格が細かく定められています。私たちが直接摂取する食品添加物だけでなく、途中で取り除かれる食品添加物であっても、安全性はしっかりと確保されているので、心配は無用です。

2. 食品添加物の歴史

皆さんは、日本に食品添加物という考え方が出来たのは、いつ頃だと思いますか? 実は1947(昭和22)年のことだったのです。この年、食品による事故や事件を防止するため、食品衛生法が施行されました。同法の第4条第2項で食品添加物の定義(1章で前述)が定められ、これを契機に食品添加物という言葉が広く使われるようになりました。

当時、食品添加物は安全が確認された60種類だけが指定され、使用できるもののみを列挙したポジティブリスト制度でした。化学合成された食品添加物については、安全性試験が義務付けられ、使用量や使用方法も厳格に管理されていました。しかし天然物を由来とした天然添加物には規制がなく、ほとんど自由に使用されていました。天然添加物は、本来食経験があるものは安全という暗黙の了解があったためです。しかし時代の変化とともに、食経験のない動植物から製造されたものが出始めるにつれ、安全性が不確かなものも現れました。そこで1995(平成7)年の食品衛生法改正では、天然物由来の食品添加物についても、合成添加物と同様に安全性を評価することが義務付けられました(表1)。これが現在の指定添加物です。

表1:食品添加物の定義の歴史
時代 法律の施行・改正 食品添加物の状況
有史以来~  

・岩塩などを使用。食材の長期保存や、変色防止が可能に

1947年 食品衛生法 施行

・食品添加物という言葉が初めて定義され、広く使われるようになる

・60種類の食品添加物が、使用を認められる

・化学合成された食品添加物は、厳格な検証・規制が義務付けられる

・天然由来の食品添加物には、ほぼ規制なし

1995年 食品衛生法 改正

・天然由来の食品添加物にも、合成添加物同様の規制がかけられる。指定添加物と呼称変更

食品添加物という言葉が生まれたのは、1947年でした。しかしそれよりもはるか昔から、食品添加物は使用されてきました。人類は有史以前から、食品の保存期間を延ばしたり、味を良くしたり、食品をおいしく見せるために、さまざまな工夫をしてきました。一例として、食肉を岩塩で包むことで、保存性が高まり、変色も抑えられることが知られています。これは岩塩に含まれる硝酸塩が、細菌の作用により亜硝酸塩に変化することによってもたらされる効果です。亜硝酸塩は、現在でも加工肉などの発色剤として使われています。さらに、食塩を製造する過程でにがりが生成されることを発見し、これを豆乳に加えることで固形化させ、豆腐を作るようになりました。にがりは、現在でも豆腐凝固剤の一種として用いられています。このように、食品添加物は古くから食品の保存、調味、加工などに用いられており、私たちの食生活を安全で豊かな、楽しいものにしてきたのです。

3. スーパーマーケットの食品添加物

今日のスーパーマーケットには、さまざまな食品が所狭しと並べられています。これらの食品のうち、食品添加物が使われているものを全て店頭から取り除いたらどうなるでしょう。図2は、一般的なスーパーマーケットの売り場見取り図に、食品添加物を使用している食品にはピンク、食品添加物を不使用の食品は青で色分けしたものです。

図2:スーパーマーケットにおける食品添加物の使用状況

図2:スーパーマーケットにおける食品添加物の使用状況(ピンク:添加物を使用、青:添加物を不使用)

まず図2右上、入店して最初に目に入ってくる青果のうち、グレープフルーツやバナナ、アボカドなどの輸入品には、輸送や貯蔵中のカビを防ぐため、防カビ剤が使用されています。奥に進んで、お総菜や揚げ物・お弁当、豆腐・揚げ・漬け物なども調味料、着色料、豆腐凝固剤、増粘剤、発色剤、酸化防止剤、保存料などが使用されています。売り場中央にあるパン類、ドーナツ、ケーキなどのデザート類には、イーストフード、保存料、乳化剤、増粘多糖類、pH調整剤、酸味料、着色料、香料などが使用されています。エビフライやハンバーグ、うどん、お好み焼きなどの冷凍・冷蔵食品には、調味料、酸味料、膨張剤、乳化剤、着色料など、アイスクリーム、プリン、ヨーグルトなどの乳製品には酸味料、乳化剤、香料、安定剤、着色料などの添加物が使用されています。コーラ、果汁飲料などの清涼飲料水には、酸味料、甘味料、保存料、酸化防止剤、香料、着色料が含まれています。この他にも、チョコレートやポテトチップス、キャンディーなどの菓子類、ハム・ソーセージ、缶詰などの加工食品、砂糖・しょうゆ・みそ・ソースなど調味料のほとんどに、食品添加物が使われています。

食品添加物を使っていないのは、図2中の青色で示した部分、野菜、果物、鮮魚(刺身)、精肉、米、牛乳だけです。スーパーマーケットの商品から食品添加物を使用した食品を排除したら、ガランとした寂しい売り場になってしまうのです。この現状を考えると、食品添加物のメリットとデメリットを正しく理解して、豊かで、楽しい食生活を送ることが大切です。

いかがでしたか? 初回となる今回は、食品添加物の定義と歴史を解説しました。次回は、食品添加物のメリットとデメリットを学びましょう。お楽しみに!