前回は、ものづくりの歴史の後半として、工作機械のコンピュータ制御、および産業用ロボットについて解説しました。今回は、第4次産業革命と呼ばれるインダストリー4.0を取り上げます。
1. インダストリー4.0の概要
ドイツでは2012年、インダストリー4.0(第4次産業革命)の実現という目標が提言されました。インダストリー4.0とは、製造業におけるオートメーション化やデータ化、コンピュータ化を目指す昨今の技術的コンセプトに付けられた名称です。産業革命以降の、近代的ものづくりの歴史をかいつまんで説明すると、
- ・第1次産業革命:蒸気機関による機械式製造装置の導入で、産業界における変革を達成
- ・第2次産業革命:工程分割に基づき、電動機(モータ)によるライン生産で大量生産を実現
- ・第3次産業革命:電子機器やITを利用し、高度な自動製造ラインを実現
として捉えられます。これらの過程を経てきた今、高度なコンピュータと通信ネットワークで構成されるCPS(Cyber-Physical System:サイバーフィジカルシステム)を基盤に、IoT(もののインターネット)で工場の生産設備やソフトウェアをネットワークに接続して、企業が新たな製品の価値やサービスを、グローバルに産み出すインダストリー4.0が実現できると考えられています(図1)。

このCPSによってもたらされるインダストリー4.0の世界では、互いに独立し自律的に制御された製造設備(ワークステーション)で構成され、高度な統合生産システムの実現が目標とされています。この高度な統合生産システムは、スマートファクトリーと呼ばれます。スマートファクトリーでは、多種多様な製品が一意に識別され、個々の製品について、その位置やプロセスの履歴、さらに、現在の状態から目標状態に到達するためのプロセスを知ることができます。これにより、設計、製造、サプライチェーン、ライフサイクルマネジメントに関わる製造プロセスの改善が促進され、製品が注文された瞬間から出荷後のサプライチェーンまで、リアルタイムで管理することが可能になります。
2. インダストリー4.0で実現するマス・カスタマイゼーション
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