前回は、現在のFA(Factory Automation)の発展につながるものづくりの歴史と工場自動化の流れについて解説しました。今回は、その後編として、さらなる工場自動化の進化をもたらした工作機械のコンピュータ制御、および産業用ロボットなどを取り上げます。
- 1. PLC(Programmable Logic Controller)とマイクロコンピュータの登場
- 2. 産業用ロボットの登場
- 3. FMS(Flexible Manufacturing System)の登場とFA(Factory Automation)の実現
1. PLC(Programmable Logic Controller)とマイクロコンピュータの登場
世界最初のPLC(Programmable Logic Controller)は、1969年に登場しました。シーケンス制御のためのリレー回路の代替として開発された制御装置PLCは、電気配線の代わりに、リレー回路を記号化したプログラミング言語を利用することでシーケンス制御を行います。また、これまで電子回路で構成されていたNC装置に、マイクロコンピュータが内蔵されるようになりました。1972年には、日本で世界最初のCNC(Computer Numerical Control)装置が登場します。CNC装置の性能は、マイクロコンピュータの性能向上とともに進化し、NC工作機械の高精度化高機能化に大きく貢献しました。
マイクロコンピュータの登場で、それまで機構により実現していた自動化は、機構と情報処理との組み合わせで実現する自動化へと移行していきます。メカトロニクス(mechatronics)という言葉は、メカニクス(mechanics)とエレクトロニクス(electronics)を組み合わせた造語として1970年代に日本で誕生し、世界でも使われるようになりました。
2. 産業用ロボットの登場
前回、1952年にNC工作機械が登場したことを紹介しました。一方、産業用ロボットは、プログラマブルな生産設備として、1962年にアメリカで開発されました(図1)。最初に市場に登場した産業用ロボットは、バーサトラン(Versatran:Versatile Transfer Machine)で、油圧作動、円筒座標系、自由度5、作動領域1.5m3程度、定格可搬重量2kg重でした。もう一つは、ユニメート(Unimate)で、油圧作動、極座標系、自由度6、作動領域1.5m3程度、定格可搬重量30kg重でした。ユニメートは、ユニメーション社が開発し、日本では川崎重工業で国産化されました。1970年には、アメリカのGMが自動車ホワイトボディ(塗装する前の車体)のスポット溶接を自動化するために導入し、日本でもこれを参考にして産業用ロボットの導入が始まりました。

3. FMS(Flexible Manufacturing System)の登場とFA(Factory Automation)の実現
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