PA(ポリアミド)の種類と用途:エンジニアリングプラスチックの基礎知識4

エンジニアリングプラスチックの基礎知識

更新日:2017年1月20日(初回投稿)
著者:安田ポリマーリサーチ研究所 所長 安田 武夫

前回は、汎用エンプラのPC(ポリカーボネート)とm-PPE(変性ポリフェニレンエーテル)の概要と用途を解説しました。今回は、PA(ポリアミド)の概要と用途を解説します。

1. PA(ポリアミド)の分類

PA(ポリアミド、ナイロン)は、分子鎖内にアミド結合(‐CONH‐)を繰り返し単位として有する、結晶性線状高分子の総称です。PAの歴史は、1930年代にPA66が米国で、PA6がドイツで開発されたことに始まります。その後、今日まで多くのPAが開発されました。

PA(ポリアミド)は、その原料から、PAn(ポリアミド(ナイロン)n)、PAnm(ポリアミド(ナイロン)nm)の2つに分類されます。同じく原料によって、脂肪族ポリアミド(PA6、PA46、PA66、PA11、PA12など)と、半芳香族ポリアミド(PA6T、PA9T、PAMXD6など)に分類されます。

また熱的性質により、融点が約220~250℃の汎用系PA(ポリアミド)、融点が約180~200℃のLCPA(長鎖ポリアミド)、融点が295℃以上のHTPA(高耐熱ポリアミド)に分類されます。

2. 汎用系PA(ポリアミド)

汎用系PA(ポリアミド)は、その優れた機械特性、耐熱性、耐薬品性などの特長を生かして、自動車、車両、電気・電子機器、産業機械、食品用フィルム、釣り糸などの用途分野に使用されています。汎用エンプラの中では、PC(ポリカーボネ―ト)に次ぐ市場規模を持ちます。

表1:汎用系PA(ポリアミド)の用途例
分野 用途例
自動車 シリンダヘッドカバー、インテークマニホールド、ラジエータータンク、オイルパン、ドアミラーステー、アクセルペダル、キャニスター、NOx対策尿素水タンク、トランスミッションマウント、ガソリンのインジェクタ部品 、エアバッグハウジング、工業用ファスナー、シフトレバー部品、ABSセンサ
電気・電子 ギア、ハブ、ブッシュ、コイルボビン、コネクタ、電池ガスケット、ソケット、モータブラケット、マグネットスイッチ部品、ロータリースイッチ部品
一般機械 ベアリングリテーナー、ギア、ファン、インペラー、電動工具ハウジング、自転車用ペダル、二輪車クランクカバー、オペラグラス鏡筒、防水時計ケース
その他射出 おもちゃ、事務用椅子、スポーツ・レジャー用品、フィッシングリール、電気工事用万力、ボルト、ナット、船舶用スクリュー
押出成形 フィルム(食品包装用途など)、バッグインボックス、モノフィラメント(釣り糸、歯ブラシなど)、医療用パック、ブロー成形品(農薬ボトルなど)

汎用系PA(ポリアミド)の用途代表例と採用理由

・インテークマニホールド

自動車の内燃機関の燃焼室に空気を導入するための多岐管です。PA6またはPA66の強化グレードが使用されています。非常に複雑な形状のため、さまざまな成形法が行われています。

・水素インジェクタ

トヨタ自動車の水素燃料電池に使用されました。燃料電池へ供給される水素の圧力と流量を制御し、高効率発電に寄与する部品です。

・民生用コネクタ

PA6、PA66の非強化難燃グレードが多く使用されています。難燃性、電気特性、耐熱性、強じん性が生かされています。

・事務用椅子

足車、基盤などの部位に使用されています。剛性、耐衝撃性、耐摩耗性などが生かされています。

・食品包装用フィルム

ナイロンフィルムは、透明性、耐ピンホール性、耐寒性、耐熱性、耐油性、耐薬品性、スリップ性などに優れ、主に食品の真空包装などに、使用されます。

3. LCPA(長鎖ポリアミド)

LCPA(長鎖ポリアミド)は、低吸湿性、軽量性などの特長を生かして、自動車、電線被覆、精密機械、医療、粉体塗装などの分野に使用されています。

表2:LCPA(長鎖ポリアミド)の用途例
分野 用途例
自動車 自動車用クイックコネクタ、工業用ファスナー、クリップ、燃料噴射装置部品、燃料チューブ、エアブレーキ用チューブ、ダクト、排ガス用チューブなど
産業機械 油圧・空圧用コネクタ・チューブ、各種ベアリング、X線コントロールボックス、各種カバー・ハウジング、時計部品、軸受、ギア、工業用ファスナーなど
電気・電子 防蟻(ぎ)ケーブル・シース、消音ギア、各種ケーブルのジャケット、コネクタ、各種ハウジング、電気毛布被覆線材、光ファイバーケーブル被覆材など
その他 スポーツシューズソール、医療用カテーテル・パイプ、ハムソーセージ用包装材、チューブ、ハンマーヘッド、粉体塗装、ダイビングシュノーケル

LCPA(長鎖ポリアミド)の用途代表例と採用理由

・自動車の燃料用多層チューブ

PA12と接着性ETFE、PA12とPA6T(PA9T)の二層構造です。PA12の柔軟性と耐薬品性が生かされていますが、ガソリンバリア性が不足しているため、ETFE(フッ素樹脂)などと多層構造となっています。

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4. HTPA(高耐熱ポリアミド)

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