プラスチックの最近の技術動向:エンジニアリングプラスチックの基礎知識2

エンジニアリングプラスチックの基礎知識

更新日:2016年10月12日(初回投稿)
著者:安田ポリマーリサーチ研究所 所長 安田 武夫

前回は、エンプラの定義、汎用エンプラやスーパーエンプラの特徴を解説しました。今回は、最近のエンプラ技術動向について解説します。プラスチック関連技術は、材料開発、成形加工などに分けられます(表1)。本稿では、材料開発技術を中心に取り上げます。

表1:最近の注目すべきプラスチック関連技術
材料開発 新規ポリマーの開発 ポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリイミド系、バイオマス原料系、特殊透明性ポリマー
ポリマーアロイ、ポリマーブレンド ナノアロイ
複合材料(ハイブリッド材料) ガラス長繊維強化熱可塑性樹脂、複合強化熱可塑性樹脂、ナノコンポジット、成形性改良CFR(T)P、高熱伝導絶縁複合材料、導電性複合材料、 積層体その他
成形加工技術 射出成形 ガスアシスト成形法、アウトサート成形法、低圧成形、 DSI法、DRI法、MID法、複数成形法の組合(射出圧縮成形法など)、多色・多材質成形、ヒート&クール成形、ホットメルトモールディング、コンパウンド同時成形、インモールド成形、ハイブリッド成形、三次元加飾成形
ブロー成形法 二重壁ブロー成形法、多次元ブロー成形法、 発泡ブロー成形
その他の技術   CAE、二次加工、ラピッドプロトタイピング、リサイクルなどの環境対応技術

1. 新規ポリマーの開発

近年、コストパフォーマンスに優れた新規ポリマーの開発は少なくなりました。しかし、その開発努力は継続されています。以下に、エンプラ系の新規ポリマーを紹介します。

ポリスチレン系ポリマー:シンジオタクチックポリスチレン

出光興産が開発したシンジオタクチックポリスチレンは、メタロセン触媒を使用して合成され、シンジオタクチック構造の立体規則性を持ちます。一般のPS(ポリスチレン)が非晶性であるのに対して、シンジオタクチックポリスチレンは結晶性を持ちます。また、従来のPS(ポリスチレン)の特徴である、低比重、耐加水分解性、良成形性、良電気特性に加えて、結晶性樹脂の特徴である、耐熱性、耐薬品性などを併せ持ちます。

PA(ポリアミド)系ポリマー:高耐熱PA(ポリアミド)、バイオPA(ポリアミド)など

PA(ポリアミド)は原料を変えることにより種々のポリマーが得られます。最近開発された代表的なPA(ポリアミド)には融点が300℃前後の高耐熱PA(ポリアミド)があり、PA6T(ポリアミド6T)、PA46(ポリアミド46)、PA9T(ポリアミド9T)などが挙げられます。環境にやさしい、植物原料使用のバイオPA(ポリアミド)としては、高耐熱性のPA10T(ポリアミド10T)や、柔軟性に優れたPA1010(ポリアミド1010)、PA1012(ポリアミド1012)が開発されています。さらに、PA(ポリアミド)系熱可塑性エラストマーも開発されています。

ポリエステル系ポリマー:LCP(液晶ポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PAR(ポリアリレート)など

ポリエステルも原料を変えることにより、さまざまな種類のポリマーが得られます。最近開発された代表的なポリエステルは、汎用エンプラのPET(ポリエチレンテレフタレート)に比べて耐熱性、耐加水分解性、ガスバリア性、強度(特に薄肉部)に優れたPEN(ポリエチレンナフタレート)、バイオポリエステルのPTT(ポリトリメチレンテレフタレート)、ユニークな性質を持つLCP(液晶ポリマー)、および従来のPAR(ポリアリレート)の耐熱性をさらに高めた新規PAR(ポリアリレート)ポリマーなどがあります。

その他、PI(ポリイミド)系ポリマー、PSU(ポリスルフォン)系ポリマーなどのスーパーエンプラでも新規ポリマーの開発は進んでいます。

2. 既存の材料の組み合わせによる材料開発

画期的な新規ポリマーの開発が停滞している一方で、既存材料の組み合わせによる材料開発は盛んに行われています。ポリマーアロイ、複合材、ブレンドの3つは、「ABCの技術」と呼ばれ、重要な材料開発の手段とされています。

  • ポリマーアロイ(Polymer Alloy):ポリマー同士の組み合わせによる材料開発
  • 複合材(Composite):ポリマーと強化材(ガラス繊維GF、炭素繊維CFなど)、無機フィラーとの組み合わせによる材料開発
  • ブレンド(Blend):ブレンド技術を駆使した材料開発

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3. 成形加工技術、その他の技術

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