形彫り放電加工機とワイヤ放電加工機:放電加工の基礎知識3

放電加工の基礎知識

更新日:2017年5月18日(初回投稿)
著者:工学院大学 先進工学部 機械理工学科 教授 武沢 英樹

放電加工機は、大きく2種類に分けられます。形彫り放電加工機と、ワイヤ放電加工機です。形彫り放電加工機は、樹脂金型(インジェクションモールド)などの凹形状を加工します。ワイヤ放電加工機は、抜き金型のダイ形状やパンチ形状などを加工します。今回は、基本となるこれら2つの加工機の構造と特徴を説明します。(細穴放電加工機は本稿では割愛します)

1. 形彫り放電加工機の構造と特徴

形彫り放電加工機は、形状加工された電極を用いて、電極が反転した形状に工作物を加工します(第2回の図1参照)。加工機の構造は図1に示すようなC型コラム形状が一般的です。電極を取り付ける主軸(Z軸)と、工作物を設置するX-Yテーブル、加工液をためる加工槽、加工用の電源装置、各軸を制御するNC(Numerical Control:数値制御)装置から構成されます。各軸とも、ボールねじを用いたサーボモータによる制御が一般的です。最近では、より応答性能を高めたリニアモータが利用される場合もあります。どちらのモータも、マイクロメートル単位の移動や位置決めができます。

図1:C型コラム構造の放電加工機

図1:C型コラム構造の放電加工機

加工槽には数百リットルの加工液をためることができます。加工液は常に循環させ、加工粉などの不純物をろ過しています。加工液には油系加工液が用いられます。火災の心配があるため、温度検知センサを備えた自動消火装置の取り付けが必須です。

電極材料には銅やグラファイトを用います。これは、加工精度や速度の向上が目的です。銅材やグラファイト材の電極材料は、丸や四角など一般的な形状のものが市販されています。図2に、丸棒銅電極により加工したサンプルを示します。必要な加工形状が市販の電極形状と異なる場合、切削加工により電極の形状を仕上げる必要があるため、余計に工程がかかります。

図2:丸棒銅電極による形彫り放電加工のサンプル

図2:丸棒銅電極による形彫り放電加工のサンプル

2. ワイヤ放電加工機の構造と特徴

ワイヤ放電加工機は、順次送り出される直径約0.2mmのワイヤ電極を用いて、工作物を糸のこのように切り取る加工機です(第2回の図2参照)。ボビンに巻かれたワイヤ電極と、ワイヤ電極を送り出す駆動装置、工作物を設置するX-Yテーブル、加工液をためる加工槽、加工液中のイオンを取り除く脱イオン装置、電源装置とNC装置から構成されます。

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