日本の地震危険度:地震リスクマネジメントの基礎知識4

地震リスクマネジメントの基礎知識

更新日:2017年4月13日(初回投稿)
著者:防衛大学校 システム工学群 建設環境工学科 教授 矢代 晴実

前回は、リスクマネジメント手法を説明し、地震リスクマネジメントの概要を紹介しました。今回は、過去に日本で発生した地震被害と今後の地震の危険度を解説します。

1. 日本の過去の地震被害

日本列島は地球上で4つのプレートがせめぎ合う特殊な場所にあります。国土面積は世界の地表面積の0.25%にすぎませんが、全世界のマグニチュード(以下M)6.0以上の地震の約20%は日本で発生しています。さらに、世界の活火山の約10%は日本にあります。そのため、日本では地震による大きな揺れや津波、火山噴火が多く発生します。

日本で1923年の関東大震災以降に発生した主な地震を、表1に示します。この表にあるだけでも、M6後半の地震は約3年に1度は発生しています。

表1:日本での関東大震災以降の主な地震(出典:国土交通省気象庁、日本付近で発生した主な地震被害過去の地震津波被害
発生年月日 マグニチュード 地震名 人的被害 最大震度
1923年9月1日 7.9 関東地震
(関東大震災)
死・不明 10万5千余 6
1925年5月23日 6.8 北但馬地震 死 428 6
1927年3月7日 7.3 北丹後地震 死 2,912 6
1930年11月26日 7.3 北伊豆地震 死 272 6
1933年3月3日 8.1 昭和三陸地震 死・不明 3,064 5
1943年9月10日 7.2 鳥取地震 死 1,083 6
1944年12月7日 7.9 東南海地震 死・不明 1,183 6
1945年1月13日 6.8 三河地震 死 1,961 5
1946年12月21日 8.0 南海地震 死・不明 1,443 5
1948年6月28日 7.1 福井地震 死 3,769 6
1960年5月23日 9.5 チリ地震津波 死・不明 142 -
1993年7月12日 7.8 北海道南西沖地震 死 202 不明 28 5
1995年1月17日 7.3 兵庫県南部地震
(阪神・淡路大震災)
死 6,434 不明 3  7
2000年10月6日 7.3 鳥取県西部地震 負 182 6強
2001年3月24日 6.7 芸予地震 死 2 負 288 6弱
2003年9月26日 8.0 十勝沖地震 死 1 不明 1 負 849 6弱
2004年10月23日 6.8 新潟県中越地震 死 68 負 4,805 7
2007年3月25日 6.9 能登半島地震 死 1 負 356 6強
2007年7月16日 6.8 新潟県中越沖地震 死 15 負 2,346 6強
2008年6月14日 7.2 岩手・宮城内陸地震 死 17 不明 6 負 426 6強
2011年3月11日   9.0 東北地方太平洋沖地震
(東日本大震災) 
死 19,475 不明 2,587
負 6,221
7
2016年4月14日 7.3 熊本地震 死 193 負 2,717 7

近年発生した主な被害地震を、2つ紹介します。1つ目は1995年の兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)です。発生日時は1995年1月17日5時46分で、地震規模はM7.3でした。震度7のエリアは神戸市須磨区、長田区、兵庫区、芦屋市、西宮市などです。総務省消防庁の発表によると、人的被害は死者6,434人、行方不明者3人、負傷者43,792人。建物被害は全壊104,906棟、半壊144,274棟でした。被害が集中した神戸市須磨区から西宮市にかけての、長さ49km幅2kmの帯状の範囲は「震災の帯」と呼ばれました。この地域では木造住宅の全壊率が3割を超えています。

兵庫県南部地震の発生は、多くの人に衝撃を与えました。その理由は、福井地震以降、数千人規模の死者を出す大地震は発生していなかったこと、神戸という大都市の直下で発生したこと、地震リスクが低いとされていた関西地方で発生したこと、福井地震を契機に設定された震度7が初めて認定されたことなどが挙げられます。

2つ目は、記憶に新しい東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)です。発生日時は、2011年3月11日14時46分で、地震規模はM9.0でした。宮城県栗原市では、震度7が観測されました。総務省消防庁の発表によると、人的被害は死者16,278人、行方不明者2,994人、負傷者6,179人。建物被害は全壊129,198棟、半壊254,238棟、一部損壊715,192棟でした。青森県から千葉県の太平洋沿岸にかけて、大きな津波被害が発生しました。岩手県、宮城県の太平洋沿岸では、10mを超える津波が押し寄せ、建物や住宅などが流出しました。また、津波に襲われた地域で、石油流出などによる火災も発生しました。

この地震の震源領域は、1978年の宮城県沖地震と同じ場所です。前回の地震から35年経過し、次の大地震発生を注意していました。しかし、発生した地震はM9.0で、想定していたM7.0程度を超える規模でした。この地震は、日本周辺のプレートの性状から、日本周辺でM9.0クラスの地震は発生しないと考えていた地震研究者に大きな衝撃を与えました。

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2. 日本の今後の地震危険度

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