ロータとは:ドローンの基礎知識(構造編)4

ドローンの基礎知識(構造編)

更新日:2021年5月14日(初回投稿)
著者:フリーエンジニア&ライター 高橋 隆雄

前回は、ドローンのフレームについて、さまざまな形状と特徴を紹介しました。今回は、ドローンの主要部品の一つであるロータを解説します。ロータは、一見すると単なるプロペラのようでありながら、実はドローンの翼そのものであり、飛行において大切な役割を担っています。回転翼機のロータは、揚力に加え推進力も得るための重要な部分です。

1. ロータとは

ロータは、回転翼機における回転部分であり、推進力を生み出す役割を担っています。また、ロータは、ドローンにおいてはプロペラと呼ばれることが多く、正確に表現すれば、回転翼機の回る翼です。回転翼機が、英語でRotor Craftと呼ばれるほど、その中心的存在なのです。

一般に、推進力を得るためのものをプロペラ(Propeller:推進機)と呼びます。このため、船のスクリューもプロペラと呼ばれます。飛行機の場合には、固定翼(Fixed wing)を使って揚力を生み出し、これを前進させる(飛ばす)推進力を得るためにプロペラを用いています。

では、なぜドローンでは回転翼のことをプロペラと呼ぶことが多いのでしょうか。それは、マルチコプターが作られるようになった初期に、飛行機用のプロペラが流用されていたからではないかと考えられます。マルチコプター、あるいはドローンが登場した初期においては、回転翼専用の部材が存在していなかったため、ロータには飛行機用のプロペラが、ロータの回転には飛行機用のモータが使われていました。このために、プロペラという呼び方が定着したのでしょう。今でも、自作ドローンなどには飛行機用のプロペラを流用することがよくあります。

ロータ(プロペラ)に対するイメージは、風を送るファンのようなものと思われがちです。しかし、実際には異なります。よく勘違いされることの一つに、ドローンは下に風を送ることで浮いているというものがあります。もちろんこれは誤りで、実際は回転によって翼に空気を当て、揚力を得ているのです。一方、羽の形状で揚力を得ずに風を送り出すのが扇風機です。もし、扇風機の羽が揚力を生むような形状をしていれば、回転させることで扇風機自体が移動することになってしまいます。揚力は飛行機における基本的な原理の一つであり、羽の上と下を流れる空気の速度に差ができることで、機体を持ち上げるような力が働きます。

図1は、あるロータの羽をカットし、断面を撮影したものです。その形は飛行機の羽と同じようになっており、回転する部分がまさに翼になっていることが分かります。ロータには表と裏があるため、取り付けには注意が必要です。図の上側が表になります。

図1:ロータの羽部分の断面

図1:ロータの羽部分の断面

2. 形状・種類の違い

ロータには、形状と回転方向、直径・ピッチによって、さまざまな要素が決まります。ホビー用途の場合には、飛行機ラジコン用のプロペラを流用することが多くなっています。

・ロータの形状と回転方向

ドローンでよく使用されるのは2枚羽か3枚羽のいずれかで、最もよく用いられるのが2枚羽です。それ以上の枚数のものはあまり見かけません。

ドローンでの最重要ポイントは、回転方向に応じた2種類のロータを必要とすることです。ドローンのロータは、取り付け位置によって右回転か左回転かが決まっています(第3回)。このため、回転方向に応じたロータを用意する必要があります。図2は2枚羽ロータの例で、上が左回転、下が右回転用です。右や左は、ロータを上から見た場合の回転方向を示しています。図のロータに貼られているシールは、ロータバランサと呼ばれ、羽の微妙な重さの違いを調整するためのものです。2枚のロータが同じものであっても、重さに微妙な差が出ることがあるため、それを調整するためにロータバランサを使用します。

図2:回転方向が異なる2枚羽ロータ、1セット分

図2:回転方向が異なる2枚羽ロータ、1セット分

図2に示したロータは「5030」と呼ばれるタイプで、直径が5インチ(12.7cm)、ピッチが3インチ(7.62cm)のものです。ラジコン用のプロペラの場合には、このように呼び方に数値が使われます。

・ロータの直径とピッチ

ロータの形状を決めるには羽の枚数だけでなく、直径とピッチという要素が必要です。直径は、ロータが回転したときに描かれる円の大きさを表します。ピッチは、ロータが1回転する際にどれだけ進むかを示す数値です。ねじの山を想像すると分かりやすいでしょう。ドローンは、ヘリコプターの場合と同様に、羽の傾きを変えることは1回転した際に進む距離(ピッチ)を変えることになります。このように傾きを変えられるものを、可変ピッチと呼びます。ところが、ドローンの場合には可変ピッチの機構を持たないものがほとんどであるため、ロータを選択する際にあらかじめピッチを決めておく必要があります。ピッチを変えられないものは、固定ピッチと呼ばれます。

3. ロータの選択方法

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