全ての類の危険物:危険物管理の基礎知識(安全な取り扱いのために)6

危険物管理の基礎知識

更新日:2023年1月20日(初回投稿)
著者:日本大学 理工学部 機械工学科 准教授 飯島 晃良

前回は、第4類引火性液体の性質と、火災予防について説明しました。今回は、第4類以外の全ての類の危険物、すなわち、第1類:酸化性固体、第2類:可燃性固体、第3類:自然発火性物質、および禁水性物質、第5類:自己反応性物質、第6類:酸化性液体について、それらの概要と性質、さらに火災予防法について説明します。

1. 全ての類の危険物

消防法上の危険物の類別を、表1に示します。

表1:消防法上の危険物の類別・性質・具体例(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、P.270)
表1:消防法上の危険物の類別・性質・具体例(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、P.270)

危険物は、第1類から第6類までの6種類に類別されます。これらの性質の概要は次のとおりです。

第1類:酸化性固体

酸化性固体は、強い酸化力をもつ固体であり、それ自体は不燃物です。しかし、分子内に酸素を含むため、分解して酸素O2を供給します。そのため、可燃物と混合すると、可燃物を爆発的に燃焼させる危険性があります。火災時には、水をかけて冷却消火を行うのが基本です。ただし、一部の物品(無機過酸化物)は水と反応して酸素を放出するため、消火の際には水系の消火剤を使ってはいけないものもあることにも注意が必要です。

第2類:酸化性固体

酸化性固体は、低温で着火したり、火炎により容易に引火したりしやすい固体です。硫黄、硫化りん、黄りん、鉄粉、金属粉といった可燃性の固体に加え、固形アルコール、ゴムのりなどの引火性固体(引火点40℃未満のもの)も含まれます。

第3類:自然発火性物質および禁水性物質

自然発火性物質は、空気中で自然発火しやすい固体または液体の物質であり、禁水性物質は、水に触れると発火したり可燃性ガスを発生する固体または液体の物質です。発熱・分解することにより、水素、メタンなどの可燃性ガスを生じて燃焼します。多くは、自然発火性と禁水性、両方の性質を持ちます。貯蔵や取り扱い時には、空気や水などとの接触を防ぐ必要があるため、物品によっては灯油などの保護液の中で貯蔵します。

第4類:引火性液体

引火性液体は、前回説明したとおり、引火点250℃未満の液体です。液体比重が1より小さく、かつ水に溶けないものが多いため、火災時に注水すると危険物が水に浮いてしまい、かえって延焼を拡大する恐れがあります。蒸気比重は全て1より大きく、蒸気は底部に滞留します。また、電気の不良導体が多く、撹拌や高速流動などによって静電気が蓄積されやすくなります。

第5類:自己反応性物質

自己反応性物質は、可燃物であることに加え、分子内に酸素を含むため、外部から酸化剤の供給がなくても単独で燃焼します。衝撃や加熱によって分解すると、内部の酸素と反応して爆発的に燃焼するものが多いため、一般に消火は困難です。

第6類:酸化性液体

酸化性液体は、第1類の危険物と同様に強い酸化性を有し、可燃物の燃焼を促進します。また、第6類の危険物はいずれも腐食性があるため、皮膚を侵す危険があり、蒸気も人体に有毒です。

2. 第1・2・3・5・6類の危険物の共通性質と火災予防法

第4類の危険物の性質などについては、前回説明しました。ここでは、第1・2・3・5・6類の危険物の共通性質と火災予防法、基本的な消火法などを説明します。

第1類:酸化性固体

酸化性固体の具体的な品名と物品名を、表2に示します。第1類は、塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、亜塩素酸塩類、臭素酸塩類、硝酸塩類などがあります。多くは無色、または白色の固体や粉末ながら、色があるものもあります。第1類は水溶性のものが多く、表中の下線が引かれている物品は水に溶けます。なお、無機過酸化物は水と反応し、分解して酸素を放出します。そのため、無機過酸化物による火災に対しては、注水消火はできません。

表2:第1類の危険物(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、別冊P.17)
表2:第1類の危険物(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、別冊P.17)

第1類に分類される危険物の共通的な性質、火災予防および消火法を、表3に示します。第1類酸化性固体は、比重が1より大きく水に沈みます。分解して酸素を放出し、可燃物の燃焼を促進するため、消火のためには多量の水をかけて分解温度以下まで冷却するのが有効です。ただし、無機過酸化物(過酸化カリウムなど)は水と反応して分解するため、注水による消火ができません。

表3:第1類の基本的性質、火災予防法、消火の方法(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、別冊P.19)
表3:第1類の基本的性質、火災予防法、消火の方法(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、別冊P.19)

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