第4類の危険物:危険物管理の基礎知識(安全な取り扱いのために)5

危険物管理の基礎知識

更新日:2022年11月15日(初回投稿)
著者:日本大学 理工学部 機械工学科 准教授 飯島 晃良

前回は、燃焼の基礎と消火法について解説しました。今回は、最も身近である第4類の危険物の性質と火災予防の方法について、事故事例も踏まえながら学びます。ガソリン、灯油、軽油、エタノール、潤滑油など、第4類の危険物は身近に最も多く出回っています。そのため、第4類引火性液体による火災のリスクは必然的に高くなります。

1. 第4類危険物の概要

第4類の危険物とは、引火性液体であり、空気と混合して可燃性気体を形成し、火種によって容易に引火する特徴があります。そのため、酸化剤との混合と、点火源との接触を避けることが必要です。代表的な物品には、ガソリン(第1石油類)、メタノール、エタノール(アルコール類)、灯油、軽油(第2石油類)、重油(第3石油類)など、身近な危険物が多いことで知られています(表1)。

表1:第4類の危険物(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、P.277)
表1:第4類の危険物(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、P.277)

第4類の危険物の品名は、特殊引火物、第1石油類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、アルコール類、動植物油類の7品に分けられます。その中で、第1石油類から第4石油類までは、1気圧での引火点の範囲で分けられます。それ以外には、特殊引火物、アルコール類、動植物油類があります。

1:特殊引火物

特殊引火物とは、発火点が100℃以下、または1気圧における引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下の引火物をいいます。発火点が100℃以下の物品は、高温な水蒸気配管に触れただけで発火する恐れがあります。引火点が-20℃以下で沸点が40℃以下の物品は、極低温環境下でも容易に引火します。また、夏場などで液温が40℃に達すると、沸騰して大量の可燃性ガスを発生します。このように、特殊引火物は第4類の危険物の中でも、特に危険度が高いことが分かります。特殊引火物の物品では、ジエチルエーテル、二硫化炭素などがあります。

2:第1石油類

第1石油類とは、1気圧における引火点が21℃未満の危険物をいいます。ガソリンの引火点は-40℃以下であり、引火点だけ見ると特殊引火物の範囲にあります。しかし、沸点は40℃以下ではないため、ガソリンは第1石油類に分類されます。つまり、第1石油類には、ガソリンのように非常に引火点が低い物品が含まれます。第1石油類の非水溶性の物品では、ガソリン、ベンゼンなどがあり、水溶性の物品ではアセトンなどがあります。

3:アルコール類

アルコール類とは、1分子を構成する炭素の数が1~3個までの飽和1価アルコール(変性アルコールを含む)で、水溶液の場合は濃度60%以上の物品をいいます。メタノール、エタノールなどがあります。

4:第2石油類

第2石油類とは、1気圧における引火点が21℃以上、70℃未満の危険物をいいます。引火点は21℃以上のため低温環境下では引火しないものの、常温付近の温度では引火する恐れもあります。非水溶性の物品では灯油、軽油などがあり、水溶性の物品では酢酸などがあります。

5:第3石油類

第3石油類とは、1気圧における引火点が70℃以上、200℃未満の危険物をいいます。非水溶性の物品では重油などがあり、水溶性の物品ではエチレングリコール、グリセリンなどがあります。

6:第4石油類

第4石油類とは、1気圧における引火点が200℃以上、250℃未満の危険物をいいます。ギヤー油、シリンダー油などがあります。

7:動植物油類

動植物油類とは、動物の脂肉など、または植物の種子もしくは果肉から抽出した油で、1気圧での引火点が250℃未満の危険物です。アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などがあります。

2. 第4類危険物の共通の性質

第4類は引火性液体であるため、最も基本的なことは、可燃性蒸気の発生と、火種との接触を防ぐことです。表2に、第4類の危険物に共通する性状と、火災予防、および消火の方法を示します。

表2:第4類に共通の特性(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、別冊付録P.20)
表2:第4類に共通の特性(引用:飯島晃良、らくらく突破甲種危険物取扱者合格テキスト+問題集(第2版)、技術評論社、2022年、別冊付録P.20)

第4類の危険物は、燃料の蒸気比重が全て1よりも大きく、空気中に沈みます。つまり、可燃性蒸気が底部に滞留しやすいことに注意が必要となります。そのため、特に低所のガスを屋外の高所に排出するような換気を行うことが重要です。また、可燃性蒸気を生じないように、容器は密栓し、換気のよい冷暗所に貯蔵します。

また、液体比重は、多くの場合1よりも小さくなります。また、非水溶性の物品が多いため、水に浮きます。よって、火災時に水をかけると、水に浮いた危険物が燃焼しながら流れ、延焼が拡大する恐れがあります。そのため、第4類の火災には、放水は適しません。消火方法は、窒息消火と抑制消火が効果的です。このため、泡消火剤、二酸化炭素消火剤、粉末消火剤、ハロゲン化物消火剤、霧状の強化液消火剤などを用いて消火します。

3. 第4類危険物の詳細

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4. 第4類危険物による事故事例

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