結露が引き起こす現象:結露対策の基礎知識3

結露対策の基礎知識

更新日:2021年12月21日(初回投稿)
著者:大阪工業大学 元准教授 佐藤 眞奈美

前回は、結露発生の仕組みを紹介しました。結露発生には、湿り空気中の水蒸気の量だけではなく、湿り空気が接する部位の温度が重要です。今回は、結露が引き起こすさまざまな現象を解説します。

1. 湿害の定義

この連載のテーマが結露対策ということからも、一般に、結露は発生することにより、さまざまな実害を及ぼすものと認識されています。日本建築学会環境基準(AIJE SH0003-2021)では、結露などの湿害を、「建物の機能・性能に影響(構造耐力・部材機能の低下、意匠の劣化、機器の機能低下および障害、収蔵物の財産価値の減少)を及ぼす現象、人間の健康を損ねるなど、建物環境を悪化させる現象を実害と定義し、これらの実害のうち、水分(気相・液相・固相)が直接的に関連するものを湿害」と定義しています。

これは、建築物に特化した湿害の定義ではあるものの、建物を材料、または製品と置き換えることで、広義の湿害の定義と読むことができます。

なお、本稿で解説する現象は、生じる材料や部位によって許容できるもの、つまり湿害と言い切れない現象も含まれます。そのため、材料と現象発生部位の組み合わせには注意しましょう。なお、固相水分(結氷による湿害)に関しては、本稿では言及しません。

結露が引き起こす現象は、前述の日本建築学会環境基準に詳細に示されています。ここでは、この環境基準に示される凝縮水、膨張、収縮、変形の現象を中心に抜粋して解説します。

2. 結露による凝縮水

水蒸気が凝縮すると凝縮水になります。凝縮水が非透湿材料の表面に付着すると、材料表面が濡れます。これは、典型的な表面結露で生じる現象です。材料表面で保持できなくなった付着水は、落滴(落水)が発生します。冬に、窓などでよく見られる現象です。

窓サッシには、凝縮水を外部に排水できる水切りがあり、凝縮水が室内の木製額縁や室内に回らないように工夫されています(図1)。

図1:掃き出し窓の水切りと額縁

図1:掃き出し窓の水切りと額縁

また、玄関扉などの室内側表面で落滴が起きると、玄関や玄関ポーチ床が濡れます。窓サッシや、玄関扉や床は、水分を吸収しない材料で作られています。そのため、いっときの見た目を気にしないならば、実害はない現象といえます。

水切りで処理できない凝縮水が額縁材に吸湿されたり、室内に回り込んだりした場合は、これを原因としたさまざまな現象が発生し、湿害となることは十分に予想されます。材料によっては汚れ、染み、変色や退色に加え、カビ、藻類・コケ類の生育という現象が起きることもあります。金属材料では錆(さび)の発生もあります。材料によって湿害の判断は異なり、明確な基準が示されているわけではありません。

3. 膨張、収縮、変形

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