結露発生の仕組み(メカニズム):結露対策の基礎知識2

結露対策の基礎知識

更新日:2021年12月1日(初回投稿)
著者:大阪工業大学 元准教授 佐藤 眞奈美

前回は、工学的な現象としての結露の基礎知識を紹介しました。今回は、結露発生の仕組みを取り上げます。

1. 湿り空気、飽和蒸気圧の関係性、温度の関係性

空気には、必ず水蒸気が含まれます。そして、空気中の水蒸気が、室内のさまざまな部位で液水となり結露が生じます。なお、水蒸気を含まない空気を人工的に作ることは可能です。水蒸気を含まない空気と区別するために、水蒸気を含む空気を、湿り空気と呼びます。

空気が含むことができる水蒸気には限度があります。その限度(飽和状態)の湿り空気の全圧のうち、水蒸気が占める圧力のことを飽和水蒸気圧といいます。飽和水蒸気圧は、空気の温度によって決まり、温度が高いほど高くなります。

物質は、温度と圧力に応じて固体、液体、気体の状態になります。人の暮らしがあるところでは、固体の氷、液体の水、気体の水蒸気が容易に共存します。氷、水、水蒸気は、わずかな温度の違いで状態が変化します。前回解説した結露の分類に示すとおり、表面結露は、空気中に含まれる水蒸気が、露点温度以下の部位に接することで液水となることをいいます。では、露点温度とは何でしょうか?

2. 非透湿材料の表面結露

露点温度は、湿り空気の状態に大きく関係します。ここでは、ガラスや金属が代表としてあげられる非透湿材料(蒸気状態の水分が材料表面を通過できず、材料内部でも移動できない性質の材料)において発生する表面結露について説明します。図1の湿り空気線図は、1気圧下での湿り空気(空気と水蒸気)の状態を、温度(乾球温度)、湿度(絶対湿度、または水蒸気分圧)、標準空気基準の比エンタルピー(乾燥空気1kgが有する熱量に対する湿り空気中の空気と水蒸気が持っている全熱量:顕熱と潜熱の比率)に応じて読み取ることができます。右肩上がりの曲線(実線)が、湿り空気の相対湿度(以下、RHと表記します)を示しています。

図1:湿り空気の状態と露点温度

図1:湿り空気の状態と露点温度

図1に、冬の室内の状態(温度25℃)を想定し、RH55%と、RH40%の湿り空気の状態を示しました。露点温度とは、空気中で水が水蒸気のままでいられるか、液水になるかの境界温度です。例えば、RH55%の空気が15℃の窓面などに接すると、空気中の水蒸気が液水となり、窓ガラスに水滴が発生します(図1の黄色のライン)。これが、表面結露です。

結露が進むと、水滴は大きくなり落下します。人が健康的な生活を維持する最低条件といわれる室内のRHが40%といわれます。その場合でも、窓面が10℃以下となると水滴が発生します(図1の緑色のライン)。東京や大阪の年間の平均気温は、約15℃です。また、季節による温度変化は約10度、1日の昼夜の温度差は約4度なので、冬の外気温が10℃を下回ることはよくあります。窓ガラスは熱伝導しやすく薄いので、室内表面温度が外気温とほとんど変わらなくなることも珍しくありません。私たちがよく経験する結露が冬型結露といわれるのは、こうした理由によります。

夏の外気(温度32℃)の場合、RHが28℃以下の部位に触れると液水が発生します(図1の赤色のライン)。この部位が金属や塗装面であれば、表面に液水が残ります。このように、冬型結露のみならず夏型結露も露点温度で説明がつきます。

3. 多孔質材料内の内部結露

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