クリーン化活動の推進法:クリーン化の基礎知識4

クリーン化の基礎知識

更新日:2018年3月20日(初回投稿)
著者:公益財団法人やまなし産業支援機構 クリーン化登録専門家 清水 英範

前回は、クリーンルームの定義、清浄度クラスの考え方、運用のポイントを解説しました。今回は、高いレベルでクリーン化活動を推進し続ける方法の一つとして、3ステップのクリーン化活動の推進法を紹介します。

1. クリーン化活動の3ステップとは

クリーン化活動の3ステップとは、クリーン化活動の基盤を強化し、継続的にクリーン化活動をレベルアップさせる手法です(図1)。現場のクリーン化活動は、やみくもに行うのではなく、この3ステップで取り組むとスムーズに実行・継続しやすくなります。

図1:クリーン化活動の3ステップ

図1:クリーン化活動の3ステップ

メリットは、3ステップで1サイクルという簡単な工程で覚えやすく、作業者全員が内容をすぐ理解・共有できる点です。ステップ3を終えた後、再びステップ1に戻って活動を繰り返すことで、クリーン化活動の基盤強化、レベルアップが期待できます。各ステップを解説します。

・ステップ1:清掃、整理、整頓

ステップ1では、クリーン化の基本である掃除(清掃、整理、整頓)を行います。ステップ1の工程は、安全の確保と事前教育、担当ゾーン・担当設備の決定、清掃手順書の作成、不用品の一掃・整頓、徹底清掃の5つです。それでは、各工程を解説します。

1:安全の確保と事前教育

本格的な清掃の前に、とても大切な準備があります。安全の確保と事前教育です。これをせずに一斉清掃を指示すると、けがや事故が発生しかねません。例えば薬液を使ったクリーニングでは、保護眼鏡や前掛け、専用の手袋を準備・着用します。脚立を使う時は、必ずロックをかけ、補助者が脚立の足を支持する必要があるため、2人1組体制にしましょう。ヘルメットも必要です。

さまざまな安全教育の場面で引用される、ハインリッヒの法則を紹介しましょう。アメリカの損害保険会社の安全技師だったハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが唱えた、事故、災害の発生確率のことです。1件の重大な事故・災害が発生した時、その背後には29件の微小な事故・災害があり、さらにその背後には、300件ものヒヤリ・ハット(事故には至らなかったものの、ヒヤリとした、ハッとした事象)があるというのです(図2)。

図2:ハインリッヒの法則

図2:ハインリッヒの法則

管理・監督者は、作業者の「今日は脚立から落ちそうになった」、「作業台の間に指を挟みそうになった」というヒヤリ・ハット事例を、聞き逃してはいけません。1件の重大事故へとつながる可能性があるからです。また清掃時も、管理者は安全に清掃が行われているか見回りをします。自分の問題として真剣に取り組み、対策を施し、きちんと作業員にフィードバックを行い、事故を未然に防止しましょう。

2:担当ゾーン・担当設備の決定

専門知識が必要な電装系の清掃は、担当者以外は絶対に手を出してはいけません。事前に担当ゾーン、担当設備を分けることで、責任感を持って掃除に当たらせる効果もあります。

3:清掃手順書の作成

清掃の手順は、あらかじめマニュアル化しましょう。この中に、安全に関する項目を加え、清掃と合わせて安全対策を指導することも大切です。

4:クリーンルーム内の不用品の一掃・整頓

クリーンルームの要件(参考:第3回)の一つに、平滑な床・壁(ゴミ・汚 染物質などが付着しにくい)にすることがあります。不用品が持ち込まれ、そのまま置かれることで平滑な部分が減少し、気流の乱れやゴミだまりができます。不用品は極力、室外に排出し、必要最低限にしたルーム内の保管物も整頓します。

5:徹底清掃

事前準備が整ったら、いよいよ掃除を始めます。久々に掃除するところや、特に汚れのひどい場所は、人員と時間を割いて徹底的に掃除しましょう。徹底清掃で苦労すると、また同じように汚して、後々大変な思いをするのは嫌だという心理から、定期清掃時にその場所を掃除する意識が生まれ、クリーンな状態の維持・管理につながります。

また徹底清掃後は、ゴミの発生源を特定する機会でもあります。1度クリーンな状態にすることで、次にゴミが出た時、どのようなゴミが、どのような経緯でたまるのかを観察できます。その経過から、ゴミの発生源を特定できるはずです。ゴミ発生源の特定対策として、光を用いたゴミの発見方法と、ゴミの分析方法があります。この2つの具体的な内容は、詳しく後述します。

・ステップ2:ゴミの発生源対策、改善の実施

ステップ2では、ステップ1で見えてきたゴミの発生源に対し、具体的な対策を取ります。ステップ2の工程は、ゴミ発生源の対策、クリーンルームの4原則の実施、清掃困難箇所の対策、設備・機器の劣化復元、摺動部・振動部対策の5つです。各工程の詳細を説明します。

1:ゴミ発生源の対策

ステップ2で最も大切なことは、ゴミ発生源の元を断つことです。それが不可能な場合は、飛散防止策を考えます。遠くにゴミが飛散するのを防ぎ、狭いエリア内でゴミを処理します。これができれば、清掃場所が狭い範囲で済み、汚染の拡大を防ぐことができます。実際の現場では、飛散防止策を取りながら発生源対策をするなど、並行した取り組みが求められます。

2:クリーンルームの4原則の実施

クリーンルーム最大の汚染源は、人間です。清浄度の確保で最も重要なのは、人間をどう管理・制御するかです。クリーンルームの4原則(参考:第3回)の各項目と実情を照らし合わせ、間違った運用を行っていないか具体的に洗い出し、改善に取り組みます。

3:清掃困難箇所の対策

清掃をする場合、どうしてもやりにくい箇所が出てきます。手が届かない、その場に適した清掃用品(設備と床の隙間の清掃用具、最適なワイパー、設備の狭い部分の清掃用具など)が不明、清掃箇所に危険が伴うなどの場合です。これらを放置せず、清掃困難箇所として拾い上げ、管理・監督者、技術・品質・保全部門に相談し、具体的な対策を考えましょう。

4:設備・機器の劣化復元

設備や機器の劣化部分をそのままにしておくと、さびや金属粉の発生、塗装粉の飛散など、ゴミの発生につながります。劣化部分に意図せず触れた場合に、けがをする恐れもあり、安全面でも問題です。また劣化した部品の継続使用、摺動(しゅうどう:機械・装置の一部を滑らせながら作動させること)部分の変形放置は、設備の誤作動・停止、さらに品質低下の原因にもなります。清掃時に発見した場合は、すぐに復元しておきましょう。容易に復元できない場合は、清掃困難箇所と同様に、関係部門に相談します。

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2. ゴミを見つける方法

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3. ゴミ分析方法のコツ

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