鋳巣の種類と検査方法:鋳造加工の基礎知識7

鋳造加工の基礎知識

更新日:2018年2月2日(初回投稿)
著者:ものつくり大学 技能工芸学部 製造学科 教授 西 直美

前回は、代表的な金型鋳造の特徴や使用方法を紹介しました。今回は、鋳物の内部に空洞が発生する鋳巣(いす)と呼ばれる現象について解説します。

1. 鋳巣の種類

鋳巣(いす)は、鋳物の内部に空洞が発生する欠陥現象です。単に、巣と呼ばれることもあります。ひけ巣、ブローホール、ミクロポロシティなどの種類があり、形状や発生原因が異なります。特徴は、いずれも品質を低下させ、対策が難しい点です(表1)。

表1:鋳巣の特徴と発生原因
  特徴 発生原因
ひけ巣 不定形な形状の空洞で、内面にはデンドライトの突起が観察される 溶融状態から凝固する際、体積変化(凝固収縮)を補完できずに空洞が発生する
ブローホール 球形に近い形状の空洞で、内面は比較的平滑である 鋳型に鋳込まれる際、空気や種々のガスが溶湯に巻き込まれて空洞が発生する
ミクロポロシティ デンドライト間隙に生じた微細な空洞 溶湯に溶解した水素が、凝固時にガスとして排出されて空洞が発生する

2. ひけ巣

ひけ巣は、鋳物の肉厚部や、急激な肉厚変化が生じた部分の内部に発生する空洞です。比較的大きく、複雑な形状をしています(図1)。

図1:ひけ巣の電子顕微鏡写真

図1:ひけ巣の電子顕微鏡写真

ひけ巣は、金属が液体から固体になるときに体積が減少する、凝固収縮と呼ばれる現象によって発生します。凝固収縮の過程を詳しく見てみましょう。まず、液体状態の金属は、原子同士の結合力が弱く、ある程度自由に移動できます。そのため、原子同士の間隔は広い状態にあります(図2の左)。ところが、温度が下がって凝固点(融点)に達すると、原子が規則正しく配列し始めます。冷却が進み配列が完了すると、固体になります(図2の右)。このとき、原子同士の間隔が狭くなるため体積が減少し、その分だけ鋳物内部に空洞が発生します。これが、ひけ巣です。凝固収縮率は、鉄 Feが4.4%、銅 Cuが4.9%、アルミニウム Alが6.6%です。ビスマス Biやケイ素 Siのように、凝固する際に体積が膨張する金属もあります。

図2:液体および固体状態における原子の配置模式図

図2:液体および固体状態における原子の配置模式図

鋳型に鋳込まれた溶湯が凝固する際に、凝固収縮する体積分の金属を補給すると、ひけ巣は発生しません。しかし、凝固が進み補給経路が閉ざされると、空洞が発生し、ひけ巣となります。ざく巣(海綿状の微細な空洞)も、ひけ巣の一種です。

炭素 Cとケイ素 Siを主成分とした鋳鉄は、黒鉛が晶出する際に体積が膨張するため、ひけ巣が発生しにくいとされています。ただし、鋳型に砂を用いるので、鋳型が膨張を支えきれずに鋳型面が後退します。その時、溶湯補給が十分でない場合、ひけ巣を発生することがあります。

ひけ巣発生の対策には、以下のような方法があります。

  • ・過度な厚肉部を作らない(均肉化)
  • ・溶融金属を補うための押湯(おしゆ)を大きくして、凝固収縮分の金属を確実に補給する
  • ・押湯の逆側に冷金を当てて冷却を速くし、押湯部分に向かって凝固を進行させる(指向性凝固)

3. ブローホール

ブローホールは、鋳物内に生じる丸みを帯びた空洞です(図3)。吹かれ、ガスホールと呼ばれることもあります。ブローホールは、溶湯が鋳型に鋳込まれる際に、空気やガスが巻き込まれることによって発生します。その内面は比較的平滑で、ガスの種類によっては金属光沢や変色を示します。鋳鉄では、黒鉛膜が見られることもあります。

図3:ダイカストのブローホールの電子顕微鏡写真

図3:ダイカストのブローホールの電子顕微鏡写真

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4. ミクロポロシティ

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5. 鋳巣の検査

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