鋳造加工の種類:鋳造加工の基礎知識2

鋳造加工の基礎知識

更新日:2017年11月15日(初回投稿)
著者:ものつくり大学 技能工芸学部 製造学科 教授 西 直美

前回は、鋳造(ちゅうぞう)加工の特徴を紹介しました。鋳造加工は、鋳型の材料や加圧方法などの違いによって、さまざまな種類があり、長所・短所も異なります。第2回では、主な鋳造法の特徴を解説します。それぞれの特徴を知った上で、自社の製品に適した鋳造方法を選択しましょう。

1. 鋳造法の種類

主な鋳造方法には、砂型鋳造、Vプロセス鋳造、消失模型鋳造、精密鋳造、重力金型鋳造、低圧鋳造、ダイカスト鋳造などがあります。鋳造法の特徴を表1にまとめました。自社製品に必要な品質・コスト・納期を決めた上で、それぞれの鋳造方法の特徴を踏まえ、適した鋳造法を選択しましょう。

表1:主な鋳造法と特徴
名称 概略 特徴
砂型鋳造 木型や樹脂型を用いて空洞を成形した砂型に溶湯を鋳込み、鋳物を成形する鋳造法
  • ・1個から製造できるので、試作開発品にも用いられる
  • ・T6熱処理、T7熱処理、溶接ができる
  • ・複雑なアンダーカット形状が成形できる
  • ・大きな鋳物の成形が可能
Vプロセス
鋳造
乾燥砂とビニル膜で造形した砂型に溶湯を鋳込み、鋳物を成形する鋳造法
  • ・大物・薄肉製品に対応できる
  • ・鋳肌がきれい
  • ・抜け勾配を小さくできる(0.5~1度)
  • ・砂に粘結剤を使用しないので、砂粒を再利用できる
消失模型
鋳造
発泡スチロールで作った模型を気化させてできる空隙に溶湯を鋳込む鋳造法
  • ・大型、少量生産の製品に適している
  • ・中子(なかご)がいらず、複雑な形状の製品に対応できる
  • ・抜け勾配が不要
  • ・型分割面が不要なので、鋳バリが発生しない
精密鋳造 石こうで作った鋳型に溶湯を鋳込み、鋳物を成形する鋳造法
  • ・鋳肌が平滑で寸法精度に優れる
  • ・型構造の自由度が高く、アンダーカット形状ができる
  • ・薄肉、複雑形状ができる
重力金型
鋳造
金型に溶湯を充填した後、溶湯の自重で鋳物を成形する鋳造法
  • ・金型を使用するため寸法精度、鋳肌が良い
  • ・T6熱処理、T7熱処理、溶接ができる
  • ・中子を使用すると複雑なアンダーカット形状ができる
低圧鋳造 金型に低圧・低速で溶湯を充填し、鋳物を成形する鋳造方法
  • ・質量歩留まり(製品質量/鋳込み質量)が良い
  • ・T6、T7熱処理、溶接ができる
  • ・中子を使用して、複雑なアンダーカット形状ができる
  • ・鋳造サイクルが長い
ダイカスト 精密な金型に高速・高圧で溶湯を充填し、鋳物を成形する鋳造法
  • ・大量生産が可能
  • ・鋳肌が滑らかで、高寸法精度の鋳物ができる
  • ・短時間充填なので、薄肉鋳物の生産ができる
  • ・ガス含有量が多く、T6熱処理、T7熱処理、溶接が難しい

2. 砂型鋳造

砂型鋳造は、砂で作った鋳型(砂型)に溶湯(鋳型に流し込む溶かした金属)を流し込んで鋳物を作る製造法です(図1)。砂型の種類を表2にまとめました。

図1:砂型鋳造法

図1:砂型鋳造法(引用:日本機械学会、機械工学便覧第6版、1997年、β-18)
表2:主な砂型の種類と特徴
砂型の種類 生砂型
(生型)
自硬性型
(フラン自硬性鋳型)
ガス硬化型
(水ガラス型)
熱硬化型
(シェル型)
粘結剤 ベントナイト フラン樹脂 水ガラス フェノール樹脂
硬化方式 突き固め 触媒配合/自硬型 CO2の吹き込み 熱硬化
鋳型材料費 安価 やや高価 安価 高価
設備費 さまざま 比較的安価 比較的安価 高価
造型速度 数十秒~数分 数十秒~数分 数十秒~数分 数分
鋳型の強度 0.03~0.3N/mm2 1~5N/mm2 1~3N/mm2 3~7N/mm2
型ばらし性 容易 良好 困難 良好
主な適用分野 中小型鋳物 中大型鋳物 中大型鋳物・中子 主に中子

生砂型(生型)は、ケイ砂とベントナイトなどの粘土に水を加えて作った鋳型です。砂(鋳物砂)は、天然の山砂をそのまま使用したり、川砂やコークス粉などを混ぜたりしたものを使用します。最近では、人工ケイ砂に粘土分を混合し、川砂に混練して用いることもあります。

自硬性型は、フラン樹脂と硬化剤を反応させ、常温に放置して硬化させる鋳型です。樹脂には、アルカリフェノール樹脂やウレタン樹脂が用いられることもあります。

ガス硬化型(水ガラス型)は、ケイ砂(石英の砂)に3~4%の水ガラス(ケイ酸ソーダ)を添加して造型し、炭酸ガスCO2を通過させて硬化させる鋳型です。寸法精度や生産性に優れています。

熱硬化型(シェル型)は、加熱した金型に鋳物砂を振りかけて硬化させる鋳型です。砂型には、レジンサンド(細かいケイ砂に熱硬化性のフェノール樹脂の粉末を約5%混ぜた砂)を使用します。

3. Vプロセス鋳造

Vプロセス鋳造は、粘結剤や添加剤を含まない乾燥砂を薄いビニル膜で密閉し、内部を減圧することで砂型を造型する方法です(図2)。砂型に金属を流し込んで冷却した後、大気圧に戻すだけで砂型をばらせます。減圧造型法とも呼ばれます。

図2:Vプロセス鋳造法

図2:Vプロセス鋳造法

砂がビニル膜で覆われているため、従来の砂型鋳物と比べ、きれいな鋳肌の鋳物を製造できます。また、砂に粘結剤を使用しないので、砂粒を繰り返し使用できます。大型製品だけでなく、複雑な形状や薄肉化した部品にも対応し、少数生産が可能です。粒度を調整した細かな砂を用いるため、原型を精密に再現できます。

4. 消失模型鋳造

消失模型鋳造は、発泡スチロールの模型を使った鋳造法です。発泡スチロール材料を使って、湯口(溶湯を鋳型に流し入れる口)を含む模型を作り、鋳物砂(砂型を作るための砂)に埋めます。これに溶湯を鋳込む(溶湯を鋳型に流し入れること)と、発泡スチロールは熱により分解・気化し、形成された空隙に溶湯が入って鋳物ができます(図3)。鋳型内に空洞が無いことから、フルモールド鋳造法とも呼ばれます。

図3:消失模型鋳造法

図3:消失模型鋳造法

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5. 精密鋳造

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6. 重力金型鋳造

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7. 低圧鋳造

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8. ダイカスト

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