質問は、相手から情報を引き出すだけでなく、思考を促進させる機能があります。コミュニケーションの場で相手の理解を深めたり、相手への関心を高めたりする役割を果たします。また、基本的に人は質問されることが好きです。なぜなら、質問されることで、他の人が自分に興味や関心を抱いているのを実感できるからです。また、自身が持つ経験則やノウハウが相手の役に立って喜ばれたとき、人は大いに自信をつけ、さらに努力するものです。今回は、効果的な質問の仕方を紹介します。
1. 閉じた質問・開いた質問
質問の仕方は大きく2つに分けられます。閉じた質問と開いた質問です。例えば、以下のように使います。
1:閉じた質問
(例)「リンゴは好きですか?」:回答は「はい」か「いいえ」
(例)「お昼ご飯、ラーメンとカレー、どちらがいい?」:回答は「ラーメン」か「カレー」
2:開いた質問
(例)「好きな果物は何ですか?」:回答は「リンゴ」「梨」など自由
(例)「お昼、どんなものが食べたい?」:回答は「ラーメン」「カレー」「牛丼」など自由
会話では、両パターンの質問を使い分けます。この2種類の質問方法は、それぞれメリット・デメリットがあります。閉じた質問は、一つもしくは複数の選択肢を回答者に提示し、答えを限定しています。回答者に決めてほしいときや確認したいときに有効です。また、回答者は「はい」、「ラーメンがいいです」など答えやすいため、まだ人間関係があやふやで会話が弾まないときや、口数が少ない人に質問するときに便利です。ただ、質問者が用意した選択肢の範囲で回答者が答えるため、長い質問に短い返答が続くと、尋問のようになります。さらに、予想外の内容や本音を引き出しにくいという面もあります。閉じた質問は、会話の導入や終息部分に使うとよいでしょう。
開いた質問は、先入観を与えずに相手から自由な回答を得ることができるため、話を広げたり深めたりしたいときに便利です。回答者の率直な考えを聞きたいときや、自由な発想・本音を引き出したいときに真価を発揮します。閉じた質問に比べて回答者の答えが長くなるので、「十分話すことができたし、よく聞いてもらえた」と回答者の満足感が高くなります。ただし、さほど親しくなかったり、回答者が話上手なタイプではなかったりすると、質問者から「どう思う?」と聞かれても答えにくくなります。よって、状況に応じて、会話を展開したいときに使うとよいでしょう。
2. 質問の種類と使い分け
質問は閉じた・開いたのほかに、時制や語尾のニュアンスの違いによって分類できます(表1)。
閉じた質問 | 開いた質問 | ||
時制の 違い |
過去 | 昨日、電話した? | 昨日、何してた? |
現在 | 今、時間ある? | 今、どんな状況? | |
未来 | 明日は出張ですか? | 明日の会議は、どのように 進めましょうか? |
|
語尾の 違い |
肯定 | 伊藤さんは来るの? | どんな人が集まるの? |
否定 | 伊藤さんは来ないの? | どうしてみんな時間通りに 来ないんだよ? |
|
意思・ 考えを 引き出す |
選択 | 和食、洋食、中華のどれがいい? | — |
想定 | あなたが相手の立場だったら、 同じことするんじゃない? |
あなたが相手の立場だったら、 どう思うんだろうね? |
1:時制の違い
・過去質問
過去質問とは、語尾が過去形で終わる質問です。過去の経験や状況を聞くので、状況を明確にしたいときに有効です。
(例)昨日のお休みは、何をしていましたか?
・現在質問
現在質問とは、語尾が現在形の質問です。今まさに行われていることを、タイミングよく尋ねます。
(例)書類のまとめは、どこまで進んでいる?
・未来質問
未来質問とは、語尾が未来形で終わる質問です。今後の予定や抱負、アイデアなどを聞きます。回答者は、過去の経験によらず自由に答えられるので、前向きな言葉を引き出しやすい点がメリットです。
(例)また同じようなことが起きたら、あなたはどうすればよいと思いますか?
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