前回は、自分の考えを適切に伝えるための、プレゼンテーションのコツを説明しました。今回は、相手の考えを正確に受け取り、信頼関係を築くための積極的傾聴について学んでいきましょう。
1. 聞く・聴く・訊くの違い
人の話をよく「きく」ようにと注意を受けた経験は、誰にでもあるでしょう。ひと口に「きく」といっても、さまざまな「きく」があります。主な「きく」は3種類(図1)。それぞれの違いを理解し、使い分けましょう。

1:聞く
「聞く」は、声や音が自然と耳に入ってくる場合に使います。最も一般的に使われ、英語ではHearと書き表します。人の話し声だけではなく、周りの騒音や隣室の物音などが耳に入ることも含みます。
2:聴く
「聴く」は、積極的に相手の話を耳に入れようとする際に使う言葉です。英語ではListenと表記され、傾聴(リスニング)とも呼びます。よい聴き手は、話し手の意図を正確にくみ取って理解します。
3:訊く
「訊く」は、相手に何かを尋ねるときに使い、英語ではAskと表記します。傾聴・質問のコツとして、相手の話をきちんと聴いてから訊くと効果的です。人は余裕がなくなると、相手の話を聴かずに自分が知りたいことだけを訊いてしまうので、注意しましょう。
2. 信頼関係を築く「聴く」
3つの「きく」の中で、コミュニケーションスキルとして最も重要なのが聴くスキル(傾聴)です。聴く技術が重要な理由は2つあります。
1:こちらが聴くことで相手も聴く
こちらが相手の話を聴くことで、相手も話を聴いてくれるようになります。多くの人は、自分の話を邪魔せず、しっかり意図をくみ取って聴いてくれる人を信頼します。
人は、自身が受けた感情・言動を相手にも返す傾向があります。心理学では行為の返報性と呼ばれ、「目には目を、歯には歯を」ということわざはよく使われます。にこやかに挨拶してくれる人には、こちらもつられて笑顔が出ます。同様に、自分の話をよく聴いてくれる人の話は、自分も聴こうとします。こちらの話をしっかり伝えたいときは、まず相手の話をしっかり聴く姿勢を見せましょう。
2:相手との食い違い・行き違いを防止する
聴くことで相手の意図をしっかりと理解し、食い違いや行き違いを防ぐことができます。傾聴の技法で特に重要なものが、相手の話の要旨をまとめ、こちらから返すというプロセスです。その行為で、話し手は自分の意図が正しく相手に伝わったか確認できますし、食い違いがあれば修正できます。
3. 積極的傾聴の4つのポイント
聴くという行為は、話し手と聴き手の信頼関係を確立するのに有効です。聞く・訊くではなく、話し手から発信される全てを受け止める積極的傾聴(アクティブ・リスニング)の技術を学びましょう。積極的傾聴のポイントを4つ紹介します。
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