銀河の構造:宇宙物理学の基礎知識6

宇宙物理学の基礎知識

更新日:2022年9月16日
著者:京都産業大学 理学部 宇宙物理・気象学科 教授 二間瀬 敏史

前回は、銀河の大きさについて解説しました。遠方の天体までの距離を測るという、天文学において最も難しい問題を解決することで、私たちの銀河系の大きさは、直径10万光年、厚さ数千光年の円盤状であることが分かりました。今回は、この銀河系の構造について解説します。

1. 銀河系の構造

銀河系の形状は、円盤状です。より詳しく銀河系の形状を見ると、円盤部分の他、バルジ、ハローと呼ばれる3つの部分から構成されており、球状星団(古い天体)はハロー内に分布しています(図1)。

図1:円盤銀河の構造
図1:円盤銀河の構造

・円盤

円盤部分は、天体写真でよく見ることのある渦巻き模様の円盤状の恒星集団です。この円盤は恒星円盤とも呼ばれ、銀河系では約1千億の恒星と星間物質を含んでいます。このような円盤を持っている銀河を、円盤銀河と呼びます。太陽系はこの恒星円盤の中にあり、銀河中心から約2万7千光年の距離に位置しています。恒星円盤は銀河中心の周りを回転していて、太陽系付近では約2億年をかけて一周しています。

・バルジ

バルジは、渦巻き銀河の中心に位置する、つぶれた球形の部分です。直径は約1万5千光年、厚さは約1万光年で、数百万個の恒星を含んでいます。円盤内の大多数の星は、太陽のように100億年よりもかなり短い年齢であるのに対して、バルジには100億年以上の古い星が多く存在しています。また、これらの星は銀河中心の周りを回転しておらず、バルジの形状は構成する星々のランダムな運動により支えられています。

・ハロー

ハローは、恒星円盤を球状に大きく取り込んだ、星や球状星団がまばらに分布した広大な空間を指します。星の数密度は、太陽の近傍では半径4光年の球内に約1個であるのに対し、ハローではその1,000分の1以下で、非常に希薄なため天体写真には星は写りません。図2に示す最近のすばる望遠鏡による観測では、星の密度は銀河中心から約50万光年から急激に減少し、約65万光年でほぼなくなっていること、さらに半径約30万光年までの星は恒星円盤と同じ方向に回転運動をし、それより外側では円盤と逆方向に回転していることなどが分かっています。

図2:すばる望遠鏡(ハワイ島マウナケア)
図2:すばる望遠鏡(ハワイ島マウナケア)

このようなまばらに恒星を含むハローを、恒星系ハローと呼びます。ただし、ハローは恒星系ハローだけではありません。さらにその外側に、暗黒物質から成るダークハローと呼ばれるハローが存在します。暗黒物質については後述します。銀河系のダークハローは、銀河中心から約100万光年まで広がっていて、その総質量は恒星円盤の約10倍と見積もられています。

2. 暗黒物質

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3. 銀河中心ブラックホール

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