星の進化:宇宙物理学の基礎知識3

宇宙物理学の基礎知識

更新日:2022年6月30日(初回投稿)
著者:京都産業大学 理学部 宇宙物理・気象学科 教授 二間瀬 敏史

前回は、恒星のエネルギー源と、太陽内部の核融合、ニュートリノ振動を紹介しました。今回は、星の進化を取り上げます。夜空に輝く星は、永遠の存在のように見えます。しかし現実には、星は生まれ、成長し、一生を終えていきます。星の進化は、宇宙における銀河など、天体の進化の基礎になっています。

1. 原始星の誕生から主系列星へ

図1に星の一生の概略を示します。適宜参照してください。

図1:星の一生(イメ ージ)

図1:星の一生(イメ ージ)

星は、星間空間に漂っている星間ガスの密度の高いところから生まれます。星間ガスの主成分は水素です(図2)。数密度が1cm3当たり100個程度の領域では、水素分子が形成されます。この領域を、分子雲といいます。分子雲の大きさは0.01~1光年、絶対温度約10K、質量は太陽質量の数十倍から数千倍以上にもなります。分子雲の中でも、特に密度の高いところを分子雲コアといい、数十万年から数百万年の時間をかけ、ゆっくりと自己重力で収縮していきます。

図2:宇宙空間に漂う星間ガス

図2:宇宙空間に漂う星間ガス

重力収縮によって解放される重力エネルギーは、最初は放射として外へ逃げていきます。しかし、中心部分の密度が1cm3当たり1011を超えると、放射はガスや固体微粒子に吸収され、内部に閉じ込められるようになります。星の赤ちゃん原始星の誕生です。図3に原始星から恒星までの変遷を説明します。

図3:原始星から恒星までの変遷

図3:原始星から恒星までの変遷

原始星の表面温度は絶対温度で数百Kなので、可視光では見えないものの、赤外線を放射して輝き始めます。原始星の周りにはガスが円盤状に取り巻き(原始星円盤)、この円盤から、さらに原始星へガスが落ち込んで、原始星の質量は増加していきます。

この段階で、原始星円盤から垂直方向に双極分子流というジェットが吹き出ます。これが約100万年続くと、周りからのガスの降着が終わり、ガスは可視光で輝き始めます。しかし、内部で核融合反応が始まるまでには、あと1億年ほど待たなければなりません。

核融合が始まるまで、星の大きさは太陽の約10倍、明るさも太陽の約10倍となり、星の内部全体が対流状態となります。中心部の温度は徐々に上昇し、約1,000万Kになると水素の核融合が開始され、恒星が誕生します。

中心部で水素の融合反応が起こっている状態を、天文学では「水素燃焼」、または「水素が燃える」といいます(やや語弊がありますが)。水素燃焼している段階の星を、主系列星と呼びます。質量が太陽質量の8%以下の星は、中心部の温度が1,000万Kに届かず、水素が燃える(核融合が開始する)ことはありません。

星を構成する物質の大半は水素なので、主系列段階は長く続きます。どのくらい続くかは、星の質量によって決まり、質量が大きくなるほど短くなります。その理由は、核融合反応の反応率が温度の17乗に比例するため、少しの温度上昇で水素の消費量が急激に増えるためです。この場合は、太陽よりも質量が大きく、このとき水素の融合反応は、恒星内部で水素がヘリウムに変換される核融合反応過程の一種であるCNOサイクルとなります。

大きさが太陽程度の星の寿命は、約100億年です。しかし、これが太陽の2倍の質量の星になると約13憶年、10倍だと約3,000万年しか主系列に留まっていられません。逆に、太陽質量の半分の質量の星は、約1,700億年燃え続けます。

2. 主系列星から赤色巨星へ

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3. 軽い星の最期

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4. 重い星の最期

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