建築構造物のモデル化:建築構造力学の基礎知識2

建築構造力学の基礎知識

更新日:2021年8月5日(初回投稿)
著者:近畿大学 工学部 建築学科 教授 大田 和彦

前回は、力の合成と分解、モーメントについて解説しました。今回は、建築構造物の理想(モデル)化を取り上げます。建築物は一般的に、構造部材(棒材など)を立体的に組み合わせた骨組みで構成されます。この骨組みは、骨組み全体で外力に抵抗できるように構成され、支持されます。また、実際の部材は断面を持ち、解析では、断面の重心に質量が縮約されていると理想化します。すなわち、部材は線材に理想化されます。

1. 節点と支点

実際の骨組みは立体構造物です。ただし、通常は、工学的な判断の下に、外力と構造物が同一平面内にある平面構造物として取り扱います。構造力学では、部材を線材に理想化し、この線材を要素と呼びます。また、要素と要素の接合部を節点といい、構造物が地盤や他の構造物と接続する部分を支点といいます。

・節点

節点には、ピン節点と剛節点の2種類があります(図1)。ピン節点は、1つの要素を固定すると、他の要素は節点を中心に自由に回転でき、2つの力を伝達します。一方、剛節点は、1つの要素を固定すると、他の要素も固定され、回転しません。そのため、剛節点では2つの力と1つのモーメントが伝達されます。

図1:ピン節点と剛節点

図1:ピン節点と剛節点

・支点

支点とは、構造物と地盤、あるいは構造物と構造物を結合し、構造物を静止させ安定させる支持点です。支点には、ローラ支点(可動支点)、ピン支点(回転支点)、固定端(固定支点)の3種類があります(図2~4)。

ローラ支点は、回転装置とローラが組み込まれた支点です。すなわち、回転と1つの方向への移動が可能です。移動の方向に対して直角の方向は固定されるので、その方向に力が伝達されます。ローラ支点は、図2の右のように表します。

図2:ローラ支点

図2:ローラ支点

ピン支点には、回転装置が組み込まれます。しかし、接続点は固定され、移動しません(図3)。すなわち、支点は回転可能ではあるものの、お互いに直角な2つの方向は固定され、その2方向に力は伝達されます。ピン支点は、図3の右のように表します。

図3:ピン支点

図3:ピン支点

固定端は、部材を深く根入れして固定されています。そのため、回転も移動もしません(図4)。そのため、2つの方向の力と1つのモーメントが伝達されます。固定端は、図4の右のように表します。

図4:固定端

図4:固定端

2. 構造物の種類

構造物には、安定構造物と不安定構造物があります。安定構造物は、外力を受けても骨組みの原形を保ち、かつ回転も移動もしません。これは構造物として第一に必要な要件です。一方、不安定構造物は、外力に対して抵抗がなく骨組みの原形を保つことができない構造物や、回転、移動してしまう構造物です。従って、一般に構造的安全性が担保できません。

安定構造物において、部材(要素)を主にピン節点で組み立てられたものをトラスといいます。また、部材を主に剛節点で組み立てられたものをラーメンといいます(図5)。

図5:建築構造物のモデル化

図5:建築構造物のモデル化

安定構造物には、静定構造物と不静定構造物があります。静定構造物は、静力学の力の釣り合い条件だけで外力を受ける構造物各部の抵抗力(内力)を知ること(すなわち解析すること)のできる構造物をいいます。釣り合い条件については、本連載第3回で説明します。一方、不静定構造物は、構造物各部の抵抗力を解析するために、力の釣り合い条件の他に、別の条件(適合条件)を必要とする構造物をいいます。適合条件については、本連載第7回で説明します。

3. 荷重と反力

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