前回まで5回にわたって、製図規格を念頭に、建築製図の基礎知識に関して解説してきました。最終回となる今回は、現代の多くの設計事務所や建設会社が建築製図の方法として取り入れている、CADやBIMを説明します。また、製図による図面の社会的・文化的意義について解説します。
1. CADによる建築製図
現代では、建築製図は、建築士資格の試験や高校・専門学校・大学の製図授業以外では、CADやBIMによって行われています。CAD(Computer Aided Design)は、その名のとおり、1980年代に導入されたコンピュータを使った図面作成方法です。
建築以外の分野では、大量生産を前提とした作業の合理化のため、早々に3次元CADが導入されましたが、建築の分野では現代でも主に2次元CADが使われています。建築は、機械その他の分野の製作物と異なって、異なる敷地や条件を尊重した一品ものの製作であることが多く、それに伴って、建築設計のプロセスと建築設計図書の捉え方がCAD導入以前とあまり変わっていないからです。
2次元CADは、コンピュータを用いた製図システムです。これにより、点・線・文字で表現される図面がデジタル化されるので、製図担当者による線の癖など個性が表現されず、共通のルールをもって作成される図面化作業に適しています。しかし、建築分野では、設計プロセスそのものが、デジタル化されることは少なく、設計はアナログ、製図はデジタルといった具合で、CADは、あくまでも図面の清書に使われる程度でした。3次元CADも、建築物のパースを描くのに使われる程度で、他分野のように設計プロセスにまで踏み込んで導入されることはあまりありませんでした。
2. CADとBIM
現代では、大きなプロジェクトになると、CADやBIMが、設計プロセスにおいて使われるようになっています。特に、BIM(Building Information Modeling)は、3次元CADが扱ってきた3次元の建築物形状に関する情報に加え、建築物を構成する部品の仕様・材料・性能・価格などといった、建築物の属性情報を組み込んだ建築モデルを構築するシステムです。
これにより、建築物に関する多様な情報をコンピュータ上の建築モデルに一元化できるので、設計・施工や意匠・構造・設備を統合して、プロジェクトをマネージメントできるようになってきました。今後は、中小規模のプロジェクトでもBIMが導入されることが課題になると思われます。BIMで形成される建築モデルを作成したり解読するには、やはり、建築製図の基礎知識が前提となります。
3. BIMの将来
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4. 手書き図面の文化的価値
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5. 建築アーカイブ事業の現在
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