前回は、建築製図の基礎知識となる製図規格のうち、線・尺度・寸法・表示記号について説明しました。今回は、製図において作図対象となる立体物を、平面媒体である図面に書き換える図法について説明します。特に、その図法のなかでも、建築製図でよく用いられる正投象、軸測投象、透視図法について取り上げます。
1. 図形の表し方(投象)
建築図面を作成する際に最も重要な留意事項は、建築図面が平面媒体で作成されるにもかかわらず、そこに表示される内容は、立体的な対象物としての建築物であるということです。そのため、建築製図を作成するには、平面上に立体物を表現する方法が確立されている必要があります。この作図方法として建築製図では、投象(projection)という方法が用いられて図形が作図されています。
幾何学的空間のなかにある立体物を、一つの平面上(投象面)に投射することによって描き出された象を投象といいます。図1のように、点Pを通る定められた方向の直線と投象面PPとの交点をP’とすると、P’がPの投象となります。そのとき、Pを原象、直線PP’を投射線といいます。
この呼び方は、幾何学的ですが、それを視覚的に捉えて、投象面を画面、投射線を視線、原象を視点、投象を視図という場合もあります。パース(透視図)などを描く際に援用する透視図法を用いて図面を描く際には、後者の用語が用いられます。
2. 平行投象と中心投象
平面への投象法には、大きく分けて平行投象と中心投象の二種類があります。
平行投象とは、図2に示すように、全ての投射線を平行にする投象法で、建築製図で作成される図面の多くは、この投象法を援用して作図されます。
それに対して中心投象とは、図3に示すように、全ての投射線が1点(点S)から放射されて成立している投象法です。この点Sを投象中心といいます。中心投象は、透視図法を用いて描くパースに援用されています。
平行投象と中心投象は、概念として異なっていますが、投象中心の考え方を展開していくことによって、平行投象を中心投象の一部と見なすことができます。通常、投象中心は有限の位置にあると設定されますが、その投象中心(点S)の位置を無限遠点に延長してとると仮定すると、その投象は、平行投象と同じ内容を示すことになります。つまり、投象法においては、全ての投射線は一点で交わり、この点が無限遠点であれば平行投象、有限の位置にあれば中心投象ということになります。
3. 正投象
建築製図では、立体物(三次元)を平面(二次元)に投象して作図することが求められます。その投象法のなかでも、立体を精確に表示する直投象による図法として正投象が用いられ、建築製図もこの図法を応用して、平面図、立面図などが描かれています。
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4. 軸測投象
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5. 透視図法(中心投象)
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