空調設備の維持管理:空調設備の基礎知識9

空調設備の基礎知識

更新日:2022年3月31日(初回投稿)
著者:関東学院大学 建築・環境学部 建築・環境学科 教授 遠藤 智行

前回は、空調設備の汚染状況と、それに対する保守管理の重要性を紹介しました。今回は、空調設備の維持管理について説明します。

1. 保全の種類

保全とは、空調設備を構成する機器や部品を運用可能な状態に維持するために、日常の点検や、故障・欠陥などから回復させる活動全般のことをいいます。保全には、予防保全と事後保全があります。

・予防保全

予防保全とは、空調設備の利用中に故障が発生することを防ぐため、定期的もしくはある基準に従って点検を実施し、故障発生前に計画的に修理や交換を行うことをいいます。予防保全には、時間計画保全と状態監視保全があります。時間計画保全は、機器メーカーの基準や過去の経験からあらかじめ点検の間隔を決め、定期的に実施する保全のことです。一方、状態監視保全は、空調機器の運転状態を常に監視し、異常値や劣化傾向を確認したら点検や修理・交換を実施することです。

・事後保全

事後保全とは、空調設備を構成する機器や部品のいずれかが故障し、要求される機能を維持できなくなった場合に、修理や交換を行うことをいいます。機器や部品が寿命を全うした後に実施するので、経済的ではあるものの、故障中に冷暖房ができなくなるなどの不都合が生じてしまうため、注意が必要です。

近年では、日常の運転状況や異常値発生時期と故障時期の関係など、多くのデータからAI(人工知能)によって故障時期を事前に予測する、予知保全も出現しています。

2. 設備機器の劣化・寿命

初期状態からの物理的な機能の劣化を物理的劣化、社会的要求機能との差を社会的劣化といいます(図1)。基幹となる設備は物理的劣化によって、末端の設備は社会的劣化によって寿命と判断されることが多い傾向にあります。

図1:設備機器の寿命

図1:設備機器の寿命

・物理的寿命

物理的寿命とは、物理的あるいは化学的原因により劣化し、要求される限界性能を下回る年数をいいます。冷凍機やボイラーの国が定める寿命(法定耐用年数)は、13年~15年程度です。点検・管理が行き届いた環境で使用されていても、20年以上も経過すれば、腐食や摩耗、機器の劣化などにより、要求された機能を維持することが困難になります。その他の機器・部品においても、耐用年数は異なるものの、同様のことがいえます。

・社会的寿命

社会的寿命とは、現在の設備機器において社会的な要求機能を満たせなくなることをいいます。空調設備の導入時には、比較的新しい機器類を用いて、社会的に標準と呼ばれる要求機能よりも良い状態で設置されることが多いでしょう。しかし、年数の経過とともに、開発・販売される機器の性能や効率は高くなり、社会的な要求も上がってきます。寿命を迎えた機器のリニューアル時には、社会的要求機能を満たすように設備の交換を行います。

3. 故障率

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