5S活動に取り組むべき理由:5S活動の基礎知識1

5S活動の基礎知識

更新日:2017年3月1日(初回投稿)
著者:株式会社経営改善支援センター 戸敷 進一

製造業や建設業で働く人なら、5S活動という言葉を一度は耳にしたことがあるでしょう。5S活動を導入すると、生産性向上、安全管理、品質管理など目に見える効果があります。さらに、組織が活性化し、技術の伝承や人材の育成にも大きな影響を与えます。そうした5S活動の特性や注意点を、8回にわたって解説します。今回は事例を見ながら、5S活動の意味、目的、要素を学びましょう。

1. 5S活動とは?

5S活動とは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の総称です。ローマ字で書くと、頭文字が全てSになるので、5S活動と呼ばれています。最近では、製造業や建設業のみならず、サービス業でも5S活動に取り組んでいるようです。しかし、よく知られている割には、本当の意味や効果は理解されていません。年末の大掃除や片付けの延長線であったり、断捨離などと混同されています。

図1:5S活動前後のオフィスの写真

図1:5S活動前後のオフィスの写真

図1の写真を見てください。Aは古臭く乱れた状態です。Bはきれいですっきりとしたオフィスです。実は、この2枚の写真は、5S活動前後の同じ会社の同じ部署を撮影したものです。4カ月の5S活動で成果が出てきました。一見、単に片付けが進んだようにも見えます。実は、社員の服装や机の位置も変わり、オフィスの機能性が向上しています。これは、社員たちの意識が大きく変わった証拠です。

近年、人々の価値観は多様化しており、世代間や部門間での意識のズレは小さくありません。以前であれば、経営者や管理職の「ちゃんと」「きちんと」という言葉の意味は、組織内で共有されていました。しかし、今は正確に伝わらなくなっています。つまり、組織の至る所で意識のズレが生じています。5S活動を正しく行えば、この意識のズレを統一することができるのです。

図2は、小さなメーカーの5S活動前後の製造現場の様子です。

図2:5S活動前後の製造現場の写真

図2:5S活動前後の製造現場の写真

この会社は製造現場が狭いことを言い訳にして、なかなか変化できませんでした。部門間には隔たりがあり、コミュニケーションもうまく取れていませんでした。しかし、選ばれたリーダーやメンバーが5S活動を通して改善する技術を学び、それを製造現場で展開し、生産性を向上させました。5S活動の前後では、働く人も、場所も、業務も同じで、当然屋号も同じです。しかし、別の会社のように見えます。

2. 5S活動は「意識改革」のツール

実は、5S活動は「意識改革のツール」なのです。人間は経験の生き物なので、従来の考えを簡単に捨てることはできません。その上、仕事では業界の常識や地域特性も加わり、なかなか変化できません。組織になると、世代間格差や職位・部署の違いによって意識が異なり、さらに変化できなくなるのです。

このような状況で、5S活動が大きな役割を果たします。理由は、5S活動が「目に見える」という特徴を持っているからです。研修や会議などでいくら意識改革を説いたところで、個人や組織の意識は変わりません。しかし、5S活動は視覚的変化を伴うので、意識が大きく変わります。きちんと活動を回すと、パートやアルバイトを含む、現場で働く人たちの意識も変えてしまいます。図1図2の写真は、5S活動が単なる「片付け」ではなく、組織に所属する人たちの意識変化を示しています。

3. 5S活動の要素

5S活動は「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つの要素で構成されます。道徳の教科書に出てきそうな抽象的な言葉です。抽象的なので、簡単に片付けなどと思い込んでしまいがちです。しかし、5S活動は組織的な活動で、その要素にそれぞれ意味とつながりがあります。

  1. 整理:不要なものを捨てる。必要なものだけを残す。
  2. 整頓:必要なものを働きやすく再配置する。そして表示を行う。
  3. 清掃:表示に従って、頻度を決めて「点検保守」を行う。
  4. 清潔:整理、整頓、清掃という3つのSを維持する。
  5. しつけ:組織が定めたルールを全員で守る。

図3:5S活動の模式図

図3:5S活動の模式図

そして、5S活動は上から順番に行う必要があります(図3)。それぞれの要素がつながっており、それを理解しなければ狙った効果を得ることはできません。例えば、いきなりルールを作って、それを守るように伝えても、定着せずにすぐに形骸化した経験はありませんか? それは活動が「点」になってしまい、「線」としてのつながりを失っていたからです。

いかがでしたか? 次回からは、5S活動の各要素を解説し、実際に組織内で活動するための手順を説明します。活動ですから工程表が必要です。不要なものを洗い出すための赤札作戦も必要です。表示にも、さまざまな手法があります。生産現場の効率化と品質管理の精度を上げるための、コミュニケーション円滑化の方法も紹介します。5S活動を正しく理解し、仕組みを構築し運用できたら、皆さんの組織は間違いなく大きく変化します。お楽しみに!